更新日: 2023.11.27 その他年金

年金の受給前に知っておきたい。年金の「繰上げ受給」がおすすめできる人の特徴とは?

年金の受給前に知っておきたい。年金の「繰上げ受給」がおすすめできる人の特徴とは?
年金の受給を考える際、多くの人が、「繰上げ受給」に意味はあるのかと悩むことでしょう。これを正しく判断するには、繰上げ受給が適している人の特徴を知る必要があります。
 
この記事では、年金の繰上げ受給がおすすめできる人はどんな人か、解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

繰上げ受給の基本とメリット

年金の繰上げ受給は、原則として65歳である年金の受給開始時期を、60歳までの任意の時期に、早期に受け取ることのできる制度です。繰上げは1ヶ月単位で行えるため、いつ受け取りたいのか、細かく調整することが可能になります。
 
繰上げ受給のメリットは、退職後の生活費に不安がある場合や、老後資金が少なく早く収入を必要とする場合に、安定した収入を早く得られることが挙げられます。
 

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繰上げ受給のデメリット

繰上げ受給の最も大きなデメリットは、受給金額が減額されることです。年金を早期に受け取ることができる反面、1ヶ月繰り上げるごとに0.4%、受給できる年金額が減額されます。長い目で見ると慎重に考える必要があります。
 
例えば、受給開始時期を60歳まで繰り下げると、60ヶ月分に当たる24%を減額されることになります。仮に、月当たり10万円の年金を受け取ることのできる方の場合、2万4000円が減額され、7万6000円しか受け取れなくなってしまいます。
 

繰上げ受給がおすすめできる人の特徴

上記のメリットとデメリットを踏まえると、繰上げ受給がおすすめできるのは、長期間の年金受給が難しい方です。例えば、健康状態に不安があり、長期間の年金受給が見込めない場合が挙げられます。
 
仮に、年金を原則どおり65歳から受け取ったとしましょう。70歳で亡くなってしまえば、5年間しか受け取ることができません。60歳で定年退職を迎え、ほそぼそとこれまでためてきた老後資金で生活し、たったの5年間で年金を受け取ることができなくなると考えると、損をした気分になってしまうでしょう。それに対して、年金の受給開始時期を60歳からにすれば、10年間も受け取ることができます。
 
参考までに、70歳で亡くなると仮定し、65歳からの年金受給額は、令和3年度における厚生年金受給者の平均的な額である、月々14万6000円として試算してみました。
 
すると、65歳から受給を開始する場合は、5年間で総額876万円を受け取ることができます。一方で、60歳から受給を開始する場合は、10年間で総額1331万5200円もの年金を受け取ることができます。
 

「老後資金が足りないから」と短絡的に繰り上げ受給をするのはおすすめできない

老後資金が足りないことを理由にした繰上げ受給は、あまりおすすめできません。長生きすればするほど、生活が苦しくなっていくからです。
 
例えば「老後資金が1000万円しかないが、それだけでは60歳で定年してから、65歳の年金受給まで生活できない」といった状況が考えられますが、そのような場合の繰上げ受給は、十分に考えて実行すべきです。安易な理由に基づく繰上げ受給は、たしかに短期的に見れば資産の切り崩しを抑えていくことができますが、長期的に見るといずれ資産が尽きてしまいます。
 
仮に60歳まで繰り上げをすると、月々14万6000円の年金がもらえていたところ、繰り上げ受給後は月々11万960円になります。年金と合わせて生活するために、老後資金を毎月8万円ずつ切り崩したとしても、10年経過するころには老後資金が尽きてしまいます。
 
そういった場合は、受給開始時期を繰り上げるよりも、定年後も就労するなどして、年金以外の収入を増やす方向で検討していくべきでしょう。
 

まとめ

年金の繰上げ受給をすることによって、早期に年金を受け取ることができるようになる半面、1月繰り上げるごとに月々の年金額は0.4%減額されることになってしまいます。
 
そのため、年金の繰上げ受給は、病気で長生きすることが難しいなど、長期間の年金受給が見込めない場合にはおすすめできますが、そうでない場合にはおすすめできません。
 
年金の受給時期は、一度決定すると変えることができません。年金の受給前には繰上げ受給についてメリットとデメリットを知り、しっかりと検討した上で、受給時期について考えておくべきでしょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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