更新日: 2023.11.28 その他年金

年金を月に「15万円」はもらわないと生活できません……現役時代の年収はいくら必要ですか?

年金を月に「15万円」はもらわないと生活できません……現役時代の年収はいくら必要ですか?
安定した老後の生活を送るためには年金の受給額が重要になります。しかし、その金額は人によって異なります。
 
今回は、老後に月15万円の生活費を目安にしている方に焦点を当て、月額で15万円の年金収入を得るためには現役時代にどれくらいの年収が必要なのか、また年金収入だけでは生活費が不足する場合にどう対応していくべきなのか考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

月15万円の年金を受け取るには525万円程度の平均年収が必要

1ヶ月当たり15万円の年金を受け取るのは容易ではありません。下記の条件を基に、年金の見込み受給額から必要な年収を試算してみます。


・1980年5月1日生まれ
・20歳から21歳は学生として国民年金に加入
・22歳から59歳まで会社員として厚生年金に加入
・60歳時点で定年退職し、65歳から年金を受給開始
・厚生労働省の公的年金シミュレーターを使用

年金の見込み受給額が月額換算で約15万円となるためには、上記の条件では現役時代の平均年収が525万円程度は必要ということが分かります。また平均年収であるため、一時的に年収が525万円程度あっただけでは年金額は月15万円とはなりません。
 
例えば、22歳から40歳までの平均年収が525万円であっても、41歳から59歳までは平均年収300万円という場合、65歳から受け取れる年金の見込み受給額はおよそ月13万円という結果になります。
 

国民年金だけでは月15万円の年金収入は不可能

自営業者など国民年金のみに加入している場合は、月15万円の年金を受け取ることは不可能と考えていいでしょう。国民年金は収入に関係なく保険料が一定であり、将来の給付額は加入期間である40年間での保険料の納付実績によって決まります。
 
令和5年度の国民年金(老齢基礎年金)の金額は満額で月6万6250円です。受給開始時期を遅らせて年金を増額できる繰下げ受給も選択できますが、最大の75歳まで繰り下げを行っても増額率は84%で、受給額は月12万1900円にしかなりません。
 
現役時代に国民年金にしか加入していないケースはもちろん、老後に就労する以外で年金収入と合わせて月15万円の生活費を考えているという場合、iDeCoやNISAを利用して老後資金を用意することが必要になるでしょう。
 
例えば、国民年金のみの加入者で満額の老齢基礎年金を受け取れる方であれば、毎月8万5000円程度の生活費の不足分を補てんできるようにiDeCoやNISAで資産形成をしておくということです。
 
65歳で年金を受け取り、85歳までの20年を老後の生活と考えている場合、生活費の不足分は総額で2040万円です。不足分についてiDeCoやNISAで用意した老後資産から切り崩せるなら、年金と合わせて月15万円の生活費を確保できることになります。
 

必要な生活費の確保が難しければ節約や就労でカバーする

年金に加えてiDeCoやNISAによる資産形成を行っても、月15万円の生活費の確保が難しいのであれば、節約して生活費を減らすという方法が思いつきます。しかし、節約にも限界があるため、そういった場合は老後も無理のない範囲で就労を続けることが現実的でしょう。
 
例えば月10万円の年金のほかに、5万円程度の収入が必要という例で考えてみます。この場合、時給1000円で週3日、1日5時間程度のパートやアルバイトで就労すれば、年金だけでは不足する分をカバーできる計算です。
 

まとめ

老後に月15万円の年金を受け取るためには、厚生年金に40年近く加入し、その間の平均年収が525万円程度は必要となります。
 
それを考えると、年金収入だけで1ヶ月に15万円の生活費を確保することは簡単ではありません。もし、老後の生活費として月15万円は必要というのであれば、iDeCoやNISAでの資産形成を視野に入れつつ、必要に応じて就労することも検討してみてください。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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