夫婦ともに65歳過ぎ 夫婦共働きで自分の老齢年金も多い場合はどうする?
配信日: 2018.09.21 更新日: 2020.04.07
この遺族厚生年金の計算については、単純な差額分の受給とはならない計算方法もあります。
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
夫婦共働きで妻の老齢厚生年金も高い場合
原則的な遺族厚生年金の受給については、前回既に述べたとおり、遺族厚生年金から妻の老齢厚生年金を差し引いた額ですが、妻の老齢厚生年金が、遺族厚生年金の額に近いような場合は、異なる計算方法で計算されることになります。
元々の遺族厚生年金の額(亡くなった夫の報酬比例部分の4分の3で計算された額に寡婦加算もあればこれも含みます。)より、その遺族厚生年金の3分の2と妻の老齢厚生年金の2分の1を足した額が大きい場合は、後者の「遺族厚生年金2/3+老齢厚生年金1/2」を遺族厚生年金の額として計算し、その額から妻自身の老齢厚生年金を差し引いた額が実際に受ける遺族厚生年金の額となります。
例えば、本来、遺族厚生年金が90万円で、夫婦共働きにより、妻自身の厚生年金加入期間が長く、妻の老齢厚生年金も80万円あった場合、60万円(90万円×2/3)と40万円(80万円×1/2)を足した100万円が遺族厚生年金と計算されます。そして、差額支給となりますので、100万円から80万円を差し引いた額である20万円が遺族厚生年金となります(【図表1】)。
単純に90万円から80万円差し引いた場合よりも、遺族厚生年金の額は10万円高くなることになります。遺族厚生年金20万円、妻自身の老齢厚生年金80万円、そして老齢基礎年金(平成30年度の満額の場合は779,300円)を合計した額で受け取ることになるでしょう。
【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資
【PR】J.P.Returns
おすすめポイント
・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる
妻自身の老齢厚生年金が遺族厚生年金より圧倒的に高い場合
もし、遺族である妻の厚生年金加入期間が夫よりも遥かに長く、先述の計算方法で計算しても、妻の老齢厚生年金が遺族厚生年金の額を超えるような場合は、妻は遺族厚生年金が受けられないことになるでしょう(【図表2】)。
そのような場合、妻の公的年金については、夫が亡くなる以前から受けていた老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つで引き続き受給することになるでしょう。
Text:井内 義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー