更新日: 2023.12.07 その他年金

年金を「65歳」で受け取ると損って本当?「60歳・70歳」で受け取る場合と比較してメリット・デメリットを解説

執筆者 : 小林裕

年金を「65歳」で受け取ると損って本当?「60歳・70歳」で受け取る場合と比較してメリット・デメリットを解説
「年金は60歳からでも受け取れると聞いた」「受給開始時期が違うと、どのくらいの受給金額の違いが出るの?」などと、年金の受給開始タイミングについて悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
 
本記事では、「年金を受給するタイミングはいつがよいのか」について解説します。受給開始のタイミングはその後のライフプランを左右するので、ぜひ参考にしてください。
小林裕

執筆者:小林裕(こばやし ゆう)

FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート

年金の受給開始年齢別の受取総額を60歳・65歳・70歳で比較

厚生労働省が発表した令和4年簡易生命表によると、平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳とのことです。この平均寿命に基づき、年金の受給開始年齢別の受取総額を60歳・65歳・70歳で比較しました。計算結果については図表1の通りです(65歳時点での受給年額を100万円として計算しています)。
 
図表1
 

 
著者作成
 
図表1の結果からは、男性は65歳、女性は70歳から年金を受給開始すると、金銭的なメリットが大きくなりやすいことが分かります。
 
生涯で受給できる年金総額は、いつ亡くなるかにより変動するため、受給タイミングの正解はありません。そのため、図表1の結果は1つの参考にしてください。
 
男性の場合は平均寿命が女性と比べて短いため、70歳以降など遅めに受け取るとデメリットになりやすいといえます。女性の場合は男性よりも平均寿命が長いため、60歳からなど早めに受け取るとデメリットになりやすいでしょう。
 

繰上げ受給・繰下げ受給について

参考として、年金の受給タイミングを原則の65歳よりも早く受け取る「繰上げ受給」と、遅く受け取る「繰下げ受給」、それぞれの減額・増額率について説明します。
 

(1)繰上げ受給の減額率の計算

繰上げ受給をすると年金額が減額されますが、その減額率は次のように計算されます。
 
繰上げ時の減額率=0.4%×繰上げた月数(60~64歳)
※1962年4月1日以前に生まれた人は0.5%
 
例えば60歳から受給を開始した場合には、受給額は24%減額されます。
 

(2)繰下げ受給の増額率の計算

繰下げ受給をすると年金額が増額されますが、その増額率は次のように計算されます。
 
繰下げ時の増額率=0.7%×繰下げた月数(65~75歳)
 
例えば70歳から受給を開始した場合には、受給額は42%増額されます。
 

ライフプランや家計の状況に合わせて適切な判断を

ここまで年金の受給タイミングについて解説しました。ぜひ今後受け取る際の参考にしてください。1度繰上げ受給をしてしまうと取り消すことはできません。ライフプランや家計の状況に合わせ、慎重に受給タイミングを決定しましょう。
 

出典

厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況

厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方]第11老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給

 
執筆者:小林裕
FP1級技能士、宅地建物取引士、プライマリー・プライベートバンカー、事業承継・M&Aエキスパート

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