更新日: 2023.12.18 その他年金

65歳からの年金額が「月15万円」の見込みです。受給を「75歳」にするとどのくらい増えるでしょうか? 生活費が不足しないように多く受け取りたいです

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

65歳からの年金額が「月15万円」の見込みです。受給を「75歳」にするとどのくらい増えるでしょうか? 生活費が不足しないように多く受け取りたいです
65歳以後の生活資金計画は「いつから年金をもらい始めるか」と「年金をもらい始める時期で年金額はどう変わるのか」を検討することも大切です。本記事では、年金受給開始を繰り下げると年金見込み額がどのくらい変化するのかを試算します。
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年金受け取り時期の「繰り上げ」「繰り下げ」を選べる人・できない人は?

年金制度には65歳からの老齢基礎年金支給開始の前に年金をもらい始める「繰上げ受給」と、65歳より後に年金をもらい始める「繰下げ受給」があります。この制度には例外があり、60歳代前半でもらえる「特別支給の老齢厚生年金」には、繰下げ受給・繰上げ受給の制度はともにありません。
 

年金月15万円で年金受給を繰り下げたら、どのくらい増えそう?

年金の受給開始は、原則として66歳以降75歳まで1ヶ月単位で繰り下げ可能です。繰り下げ受給では、1ヶ月遅らせるごとに0.7%ずつ年金が増え、最大で84%増となります。
 

<試算>

年金月額15万円で繰下げ受給を申請した場合の、年金額目安の計算式は「年金額×年金をもらいたい年齢での受給率」です。
 
75歳の場合は15万円×184%=27万6000円となり、毎月27万6000円を亡くなる時まで受け取れます。受給を先延ばしすると確実に年金額を増やせることが大きなメリットです。
 

年金の繰り下げで注意しておくことは?

年金の繰り下げを行っているときに注意しておくことを、いくつか挙げます。
 

(1)繰り下げている間は年金をもらえない
年金を繰り下げている間の生活費は、働き続ける・貯蓄を使うなどでまかなう必要があります。

(2)繰り下げで増額すると、税金や国民健康保険料などの負担も増える

(3)受給期間によっては損をする場合がある
例えば、75歳まで繰り下げて78歳で亡くなった場合、年金の受給総額は993万6000円(27万6000円×36ヶ月)になり、繰り下げせずに65歳から78歳まで年金を受け取った場合の受給総額2340万円(15万円×156ヶ月)よりも少なくなります。

(4)65歳以降も働き続けて在職老齢年金制度により支給停止された額があると繰り下げ加算額が変わる
働き続けて一定以上の収入があると、在職老齢年金制度によって年金が支給停止されます。支給停止されていた額を除いて、繰り下げ加算額が計算されます。

 

年金の繰り下げを途中で取りやめることは可能なの?

年金の繰り下げは国民年金・厚生年金それぞれ66歳以降1ヶ月単位で別々に申請でき、途中で取りやめることも可能です。令和5年4月から「特例的な繰下げみなし増額制度」も始まりました。
 
令和4年4月より繰下げ受給の上限年齢が75歳に引き上げられたことを受け、制度改正が行われました。例えば、75歳まで繰り下げ申請していたけれど、病気のためまとまったお金が必要になって72歳で繰り下げを取りやめる場合、請求の5年前(67歳)に繰り下げ申請したとして年金額を再計算してもらえます。
 
72歳の請求時点では本来の年金に16.8%増額された年金を5年分まとめて(15万円×116.8%×60ヶ月=1051万2000円)一時金として受け取り、以降は67歳時点の増額された年金(17万5200円)を受け取り続けられるのです。
 

まとめ

年金の受け取り時期を繰り下げると将来の年金額が増えて、繰り下げは途中で止められることも可能な制度です。繰り下げている間は年金をもらえないなどのデメリットもあるので、自分の家計や貯蓄などと比較してから繰り下げするかを判断することが望ましいでしょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給

日本年金機構 令和5年4月から老齢年金の繰下げ制度の一部改正が施行されました

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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