更新日: 2023.12.28 その他年金

掃除中に過去の「ねんきん定期便」を発見!年金見込み額「12万円」だったけど、生活していけますか……?

執筆者 : 柘植輝

掃除中に過去の「ねんきん定期便」を発見!年金見込み額「12万円」だったけど、生活していけますか……?
ねんきん定期便に記載されている金額を見て、将来が不安になった方は多いことでしょう。もし、過去のねんきん定期便を見て、そこに記載されている年金額に不安を感じたとき、どうしていけばよいのでしょうか。考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

ねんきん定期便とは

最初に、ねんきん定期便の概要について確認しておきましょう。ねんきん定期便とは、年金制度への理解を深めるために、毎年誕生日の属する月に送られてくる書類です。そこには、自身の年金記録が記載されています。
 
ただし、全ての人に全く同じ内容で届くわけではありません。35歳、45歳、59歳といった節目の年齢には、封書で全期間の月別状況を見ることができるなど、かなり詳細に自身の年金記録を確認することができます。一方で、それ以外の年齢では簡易なはがき形式で届きます。はがき形式の場合、月別状況が直近13月分しか記載されないなど、一部の記載内容が省略されています。
 
図表

出典:日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」
 
なお、ねんきん定期便は再発行が可能です。今まで受け取った覚えがないという方や、受け取ったけれどなくしてしまっているような方は「ねんきん定期便・ねんきんネット専用番号」へ連絡することで再発行ができます。
 
ただし、即日の再発行とはならず、通常は2ヶ月から3ヶ月程度かかるようですので、注意してください。
 

月々12万円の年金で生活していくことができるのか

ねんきん定期便に記載されている見込み額は確定した金額ではありませんが、現在の状態が60歳まで継続したと仮定した際に予想される年金額が記載されています。そのため、将来はおおむねそこに記載されているものと同様の金額が支給されると考えてもよいでしょう。
 
もし、そこに12万円と記載がされていれば、このままでは将来、月々12万円の年金で生活していかなければならないことになります。ただし、途中で転職や離職など働き方に大きな変化があれば、それよりも低くなっている可能性もあるため、注意してください。
 
仮に月12万円の年金が支給されるとしても、正直なところ、それだけで生活は難しいでしょう。総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編(2022年(令和4年)平均結果の概要)」によれば、65歳以上の無職世帯が1ヶ月生活するには、単身者でも月々15万5495円、夫婦なら26万8508円かかります。
 
月12万円の年金で生活(夫婦なら12万円×2=24万円)することも不可能ではありませんが、大抵の場合はそれだけで生活できず、貯金の切り崩しや就労などで対応することになるでしょう。
 

月12万円の年金見込み額と知ったとき、どうすればよいのか

将来の年金が月々12万円と分かったら、老後のためにすぐ行動すべきです。例えば、今から収支を見直して貯金をする、iDeCoやNISAで老後資金をためるなどです。また、「老後も働きつづけられるように心身の健康維持に努める」という選択肢も現実的です。
 
いずれにせよ、年金の見込み額が月12万円であるという事実は変わりません。それであれば悩みつづけるよりも、迫りくる老後のためにしっかりと準備する方が建設的です。
 
例えば単身者で、老後の生活費が月々16万円と見込まれる場合、不足する額は月々4万円です。仮に60歳で定年退職し、老後の生活が60歳から95歳までの35年間であるとします。その場合、不足する金額は1680万円になります。「そのうち1000万円はこれから貯金で用意するので、残りの680万円は老後に稼ぐ」など計画を立てましょう。
 

まとめ

過去のねんきん定期便に記載された年金見込み額は、その時点で予想される将来の見込み額です。しかし、働き方などが大きく変わっていない限りは、基本的には実際にもらえる年金額と大きな差は出ません。
 
もし、過去のねんきん定期便に「12万円」と年金見込み額が記載されていれば、将来の年金はおそらく12万円から大きく変動しないことが想定されます。すると、年金のみでの生活は厳しい可能性が高いです。そのため統計を参考にしつつ、貯金の他、iDeCoやNISAを実施する、あるいは老後も働くなどして対策することが必要でしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要
日本年金機構 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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