更新日: 2024.01.05 その他年金

年金は「72歳まで」に受給しないと損をする?受給総額で考える繰下げ受給

年金は「72歳まで」に受給しないと損をする?受給総額で考える繰下げ受給
年金の繰下げ受給を利用すれば、65歳から受給開始するよりも受け取れる年金額を上乗せできます。しかし、繰下げ受給で受給開始の年齢が遅くなった場合、寿命を迎えるまでの年数によっては、65歳からの受給と比較して、年金の受給総額で損をしてしまう可能性があるため、注意が必要です。
 
本記事では、繰下げ受給による年金の加算率と寿命から考える、繰下げ受給の損益分岐点となるボーダーの年齢について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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年金の繰下げ受給は何歳まで? 寿命までに受け取れる年金総額から算出

年金の受給開始は通常65歳からですが、最大75歳まで、受給開始の年齢を繰り下げられます。
 
繰下げ受給を利用すれば、受け取る年金額が最大84%上乗せされます。ただし、受給開始の年齢が遅くなるため、65歳から受給を開始した場合と比較した損益分岐点までは、年金を受給し続けなければ損をしてしまいます。
 
ここでは、繰下げ受給した場合と65歳から受給を開始した場合の損益分岐点と、平均寿命から、寿命までに受け取れる年金総額で比較検討した、繰下げ受給するべき年齢を算出します。
 

繰下げ受給による損益分岐点を計算

65歳で受け取る年金を100%とした場合、1年繰り下げるごとに年金額が8.4%加算されます。
 
65歳から年金を受給開始した場合と比較した損益分岐点を計算する場合、受給を繰り下げた期間で本来受け取るはずだった年金額(100%×n年)を、繰り下げたことで増えた年金(n年×8.4%)で割ることで算出できます。
 
【表1】

繰下げた年数 年金加算額 受給開始年齢 損益分岐点を超える年齢
1年 8.4% 66歳 約78歳
2年 16.8% 67歳 約79歳
3年 25.2% 68歳 約80歳
4年 33.6% 69歳 約81歳
5年 42% 70歳 約82歳
6年 50.4% 71歳 約83歳
7年 58.8% 72歳 約84歳
8年 67.2% 73歳 約85歳
9年 75.6% 74歳 約86歳
10年 84% 75歳 約87歳

 
繰下げ受給による損益分岐点は、繰り下げた年数にかかわらず、受給開始した年齢の11年11ヶ月後となります。例えば、66歳に年金受給を繰り下げた場合、損益分岐点は66歳+11年11ヶ月=77歳11ヶ月となり、約78歳で損益分岐点を超える計算です。
 

男女別の平均寿命

厚生労働省の発表した「令和4年簡易生命表」によると、男女別の平均寿命は次のとおりです。
 
【表2】

男性 81.05歳
女性 87.09歳

※厚生労働省「令和4年簡易生命表 表1 主な年齢の平均余命」をもとに筆者作成
 
単純計算ではありますが、【表2】の男女の平均寿命の和を2で割ると、男女を合わせた平均寿命は約84歳となります。
 

男性は69歳、女性は75歳が繰下げ受給の目安

繰下げ受給の損益分岐点となる年齢【表1】と、男女別の平均寿命【表2】から、年金の受給総額で損をしないと考えられる受給開始のボーダーの年齢は、表3のとおりです。
 
【表3】

男性 69歳
女性 75歳
合計 72歳

 
男性と比べて平均寿命の長い女性の場合は、繰下げ受給による加算率が最大値となる75歳から受給開始しても、損をしない可能性が高くなります。
 

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繰下げ受給は72歳までに受給開始しなければ損をしてしまう可能性も!

資料による試算の結果から、男性は69歳、女性は75歳、平均では72歳ごろが繰下げ受給によって損をしないボーダーの年齢となります。健康状態や個別の状況によって、必ずしも平均寿命どおりというわけではありませんが、ひとつの指標として参考にしましょう。
 
生涯に受け取る年金総額は長生きするほどに多くなるため、健康を維持することも、年金で損をしないための重要なポイントです。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
厚生労働省 令和4年簡易生命 表1 主な年齢の平均余命
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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