もう廃止されたとのことだったので「年金手帳」を処分したいのですが、取っておいてよいことはありますか?

配信日: 2024.01.03

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もう廃止されたとのことだったので「年金手帳」を処分したいのですが、取っておいてよいことはありますか?
令和4年4月以降、年金手帳が廃止されたことは記憶に新しいでしょう。その陰で、今持っている年金手帳をどうするべきか、悩んでいる方もいらっしゃるようです。そこで、廃止された年金手帳についてどのように扱うべきか、解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

年金手帳は処分しない方がいい

年金手帳は令和4年に廃止されていますが、まだ処分するべきではありません。年金手帳という制度のうち、廃止されたのは、あくまでも新規の発行や再発行であり、年金手帳自体の効力は失われていないからです。年金に関する手続きの際には、引き続き有効に利用できるため、あえて捨てることもないのです。
 
日本年金機構「基礎年金番号・基礎年金番号通知書・年金手帳について」によると、令和4年4月以降は年金手帳に代わって「基礎年金番号通知書」というものが発行されています。しかし既に年金手帳が発行されていた方に対しては、この基礎年金番号通知書は発行されていないと明記されています。
 
もちろん、別途手続きを取って発行することもできるのですが、それには時間がかかるようです。必要なときに年金番号を確認するものが何もない、という状態を避けるためにも、年金手帳は今後も保管をしておくことをおすすめします。
 
なお、基礎年金番号通知書の発行には手数料がかからず、0円で再発行できます。
 

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年金手帳でできること

マイナンバーが普及した現在、年金手帳がなければならないという手続きはそう多くありませんが、年金手帳が利用できる場面は、いずれも年金に関する重大な手続きです。

一例としては下記のようなものがあります。

●会社の入退社時に厚生年金へ加入・脱退するための手続き
●厚生年金から国民年金へ加入する際の手続き
●国民年金の口座振替手続き
●その他、年金に関する記録の照会や届け出の手続き

 

年金手帳は取っておいた方がいい?

年金手帳はなくしても直ちに困ることはないとはいえ、取っておいた方がいいこともあります。その最大の理由は保管しやすいことです。年金手帳は冊子なので、ある程度大きさや厚みもあり、比較的紛失しづらく保管に適しています。一方で、基礎年金番号通知書は小さく薄い紙なので、失くしやすいといえます。
 
また、年金手帳は身分証明書として利用できることがあります。単体では利用できずとも、保険証など他の書類と合わせて、身分証明書として認められる可能性があります。それに対して、基礎年金番号通知書は住所の記載がなく、場合によっては身分証明書として利用をできないこともあるようです。
 

年金手帳を持っていた方が、年金支給額が上がる?

これまでの自分の年金記録が年金手帳に記載されている、という方にとっては「年金手帳を保管しておいた方が、将来の年金額が高くなるのでは」「紛失したら、自分の年金記録が消えてしまい、年金額が減ってしまうのでは」と感じられるかもしれません。
 
しかし、実際にはそうではありません。年金記録は、年金手帳に記載されている基礎年金番号を通じて管理されています。したがって、例えば「年金手帳を紛失したため、そこに記載されている4万円分の年金記録がなくなってしまい、年金額が減少する」ということはありません。逆に「年金手帳を持っていると、持っていない場合よりも年金額が1万円上がる」といったように、年金額が増加することもありません。
 

まとめ

年金手帳は新規の発行や再発行が既に終了していますが、引き続き利用できます。保管や手続きの手間などを考えると、まだ破棄せずに大切に保管しておくべきでしょう。
 
保管しておくことで年金額が増えたり、逆に減ったりするなど金銭面での影響はありませんが、わざわざ捨てる必要もありません。
 
今手元に年金手帳があるという方は、今後も大切に年金手帳を保管しておくことをおすすめします。
 

出典

日本年金機構 基礎年金番号・基礎年金番号通知書・年金手帳について
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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