月収20万円のフリーターです。将来「厚生年金」を受け取ることはできますか?
配信日: 2024.01.11
そこで、月収20万円のフリーターは厚生年金を受け取ることはできるのか、受け取れる場合はどれくらいの金額になるのか、考えてみました。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
厚生年金を受け取るための要件は?
日本年金機構の情報によれば、厚生年金を受け取るための要件は、国民年金の受給要件を満たしており、かつ、厚生年金の加入期間がある場合とされています。
厚生年金に加入している場合は、同時に国民年金にも加入していることになるため、基本的に厚生年金に加入している方であれば、国民年金の受給要件を気にする必要はないでしょう。
厚生年金といえば、かつては「正社員の特権」と思われていた時期もありました。しかし、今はフリーターであってもフルタイムで働いていれば、勤務先の厚生年金に加入することになっています。
フルタイムでなくとも、就業規則や労働契約などに定められた労働時間および労働日数が、正社員の1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数の4分の3以上あるなど、フルタイムに近い時間働くことで、加入することができます。
なお、小規模な個人事業主に雇われて働く場合、厚生年金の適用が除外され、フルタイムで働いていても厚生年金に加入できないという場合もあるようなので注意が必要です。
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月収20万円のフリーターが受け取る厚生年金の額は?
では、月収20万円のフリーターが将来受け取る厚生年金の額を、具体的に試算してみましょう。条件は下記のようなものになります。
・1995年10月1日生まれ
・20歳から21歳は学生で国民年金に加入
・22歳から59歳までフリーターとして過ごし、厚生年金に年収240万円で加入
すると、65歳から受け取る年金は、年間127万円となります。月額換算すると約10万5000円です。事前に老後に向けた資産形成をしている・相続によって財産を得ているなど特例的な状況はともかく、年金だけで将来生活していくことは難しそうです。
2022年に行われた総務省統計局の家計調査によれば、65歳以上の単身無職世帯の月々の支出は、15万5495円となっています。65歳以上の夫婦のみの無職世帯においては、26万8507円となっています。
いずれにせよ、このまま月収20万円のフリーターを続けても、配偶者が月に17万円近い額の年金を受け取らない限り、将来は年金だけで、統計上想定される一般的な生活をすることは難しい可能性があることが分かります。
働く期間の延長や正社員への転職も検討を
月々10万5000円ほどの年金では不安を感じる場合、働く期間を延ばすことや、正社員へ転職して収入を増やすなどすることも有効です。厚生年金は加入期間を長くしたり、加入期間の平均収入を高くしたりすることで、将来の支給額も高くなるからです。
参考までに、先と同じ条件で働く期間を64歳まで伸ばすと、支給される厚生年金の額は年間143万円、月額換算で11万9000円ほどになります。さらに69歳まで伸ばせば、65歳から受け取れる年金は143万円、70歳から受け取れる年金は159万円となります。70歳からは、月額換算で13万2000円ほどとなります。
また、35歳から正社員となり、59歳までは平均年収500万円で働くことができれば、支給される年金額は161万円となり、年換算で13万4000円ほどになります。この条件で64歳まで働けば、年金額はさらに増え、183万円になります。
この場合は月額換算すると15万2000円ほどであり、単身者なら何とか生活していくことができそうな額になります。
まとめ
月収20万円のフリーターでも、小規模な個人事業主の下で働いているような例外的な場合を除いて、厚生年金には加入することができます。したがって、フリーターであっても将来は厚生年金を受け取ることができるようです。
しかし、収入がさほど高くない方は、思うような年金額を得られない可能性が高いです。将来的に年金を多く受け取りたいと考えるのであれば、長く働いたり、転職して正社員になり収入を増やしたりすることをおすすめします。
出典
厚生労働省 公的年金シミュレーター
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要
執筆者:柘植輝
行政書士