更新日: 2024.01.21 その他年金
隣人のポストに「赤い封筒」が届いていました。年金事務所からの最終催告状だとしたら、じきに取り立てが来るのでしょうか?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
年金の最終催告状とは限らない
正直なところ、赤い封筒であるからといって必ずしも年金事務所から届く最終催告状とは限りません。一般企業からの通知などの可能性もあるからです。
また、仮にそれが最終催告状であったとしても、すぐに、しかも直接隣人宅に取り立ての業者などがお金を取り立てに来るわけではありません。さらに、隣人だからと請求が自身に及ぶわけでもありません。したがって、相談者自身に影響は一切ないため、安心していいでしょう。
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最終催告状はどういった状況で送られてくる?
年金保険料の最終催告状はそう簡単には届きません。段階を踏んで送られてくるようになっています。
具体的には、まず期限までに納付がなされない場合、電話や文書などによる納付勧奨がなされます。その上で、何度も納付勧奨を受け、支払い能力がありながらも、なお支払いがなされない場合に最終催告状が送られるようになります。
そして、最終催告状によって定められた期間においても納付がなされないという場合、督促状が送られてきます。この督促状に記された期間までに納付がない場合、財産の差し押さえが行われることになるのです。
このとき注意しなければならないのは、世帯主や配偶者など、本人と連帯して年金保険料を納付すべきとされている方に対しても、督促状が送られてしまうという点です。督促状が送付された方は連帯納付義務者となるため、本人が保険料を納付しない場合、本人だけではなく納付義務者の財産に対しても、差し押さえがなされることになります。
※出典:日本年金機構「日本年金機構の取り組み(国民年金保険料の強制徴収)」
そのため、もし本当に隣人のポストに投函(とうかん)されていたものが最終催告状であったとしたら、未納の国民年金保険料が納付されない限り、差し押さえされる可能性があります。
延滞金が存在する
国民年金の保険料を定められた期間までに支払うことができない場合、延滞金が発生します。具体的には、令和5年から6年の場合、3ヶ月を経過する日までの延滞金の割合は、年2.4%となります。そして、3ヶ月を経過する日の翌日以降からは、年8.7%の割合で延滞金が発生します。
図表1
出典:日本年金機構「国民年金保険料の延滞金」
参考までに、令和5年度を例に考えてみましょう。令和5年度の国民年金保険料の額は月額1万6520円です。これについて、本来5月31日に納付すべきであったものを、10月1日に納付したものとします。
すると、3ヶ月を超えない部分については、すなわち1万6500円(500円未満の端数は切り捨て)の2.4%として計算された延滞金が92日分で、約99.81円となります。さらに、3ヶ月を超えた部分の延滞金が30日分あり、約117.98円です。合計すると約217.79円となりますが、50円未満の端数は切り捨てるので、最終的な延滞金の額は200円となります。
上記のケースは未納の保険料が1ヶ月分のみで、延滞期間は122日でしたが、これが何ヶ月分もの保険料を数年ためてしまっている場合となると、延滞金はかなり高額になっていきます。
まとめ
赤い封筒が隣人に届いていたとしても、隣人の年金保険料が未納となっている可能性があるだけであり、自身には何ら影響ありません。
国民年金の保険料は延滞すると、1万6520円(令和5年度ベース)をベースとした延滞金が発生します。
自身が国民年金の保険料を延滞することがないように、これを機に延滞の有無や延滞金の存在について、確認しておくといいでしょう。
出典
日本年金機構 日本年金機構の取り組み(国民年金保険料の強制徴収)
日本年金機構 国民年金保険料の延滞金
執筆者:柘植輝
行政書士