更新日: 2024.01.29 その他年金

現役時代手取り「30万円」はありましたが、年金もそのくらい受け取れると思っていていいですか?

執筆者 : 柘植輝

現役時代手取り「30万円」はありましたが、年金もそのくらい受け取れると思っていていいですか?
「現役時代の手取りと同じくらい年金ももらえるだろう」そう考えていませんか? 実は、現役時代の手取り収入と年金の支給額は、同じになるとは限りません。
 
そこで、現役時代の手取り30万円の方が受け取れるであろう年金の額について考えてみました。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
◆お問い合わせはこちら
https://www.secure-cloud.jp/sf/1611279407LKVRaLQD/

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

現役時代ずっと手取り30万円でも、年金は30万円ももらえない

会社員として厚生年金に加入して働いてきた場合でも、残念ながら現役時代の収入に比べて、受け取る年金はかなり少なくなってしまうようです。
 
実際のところ、どれくらいになるでしょうか。現役時代の手取り収入が平均して毎月30万円(額面は38万円とする)の方が、将来受け取るであろう年金を、公的年金シミュレーターにて、下記条件で試算してみます。

●1964年10月1日生まれ
●現役時代の平均収入は額面38万円、賞与は年3ヶ月分で、年収570万円と想定
●22歳から59歳の間に就労
●20歳から21歳は、学生として国民年金に加入(付加納付有)

すると、65歳から受け取ることのできる厚生年金の額は、191万円となります。月額換算では16万円程度となります。手取り30万円であった現役時代の収入と比べると、半分程度になってしまうことが予想されます。
 
現役時代の手取り金額がいくらであるかに関係なく、年金は現役時代の手取り額ほどは得られない、と考えておくべきでしょう。
 
なお、実際に手取り30万円を得られていた時期が、現役世代のうち一部の時期だけであった場合、さらに年金額は小さくなることになります。
 

年金額16万円で老後は生活できるのか

総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要」によれば、令和4年度の65歳以上の単身無職世帯における月々の支出は、15万5495円となっています。
 
ここから、現役時代に平均して手取り30万円の収入を得つづけていた人でも、単身者であればギリギリ生活できる年金水準になりそうだと予想されます。
 
また同調査によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、月々の支出は26万8508円です。夫婦共働きでそれぞれが手取り30万円近い収入を現役世代の平均収入で得ていれば、老後も夫婦で年金のみで暮らしていくことができそうです。しかし、一方が配偶者の扶養に長期間入っていたなどすると、生活は苦しいものとなってしまいそうです。
 
いずれにせよ、老後は統計にあるような水準で生活したいのであれば、1人当たりの年金月額16万円はギリギリの金額となります。
 
手取り30万円といえばそれなりに高収入と思える金額ではありますが、それでも老後の年金額は高額とまではいえないようです。
 

予想よりも年金額が少なかったときは?

もし、予想よりも年金額が少ないと感じたときは、一度老後に必要なお金を計算してみましょう。現状の生活費から将来の生活費を予測し、年金だけでカバーできない不足分がいくらになるのか把握し、その上で、老後資金で不足分が賄えるか確認しておくことが大事です。
 
もし、老後資金だけでは賄えない場合は、老後も年金を受け取りながら就労することが必要となるでしょう。
 
いずれにせよ、予想外に年金額が少ないとなれば、老後思い描いていたライフプランを実現することが難しくなります。そうなることを少しでも防ぐため、早めに老後の生活について試算することをおすすめします。
 

まとめ

現役時代の平均の手取り月収が30万円あっても、支給される年金月額はそのおよそ半分である、16万円ほどとなるようです。
 
しかし、実際に現役時代の平均の手取りが月に30万円あるという方は多くはありません。そう考えると、老後の生活は年金だけでは厳しいものになりそうです。
 
これを機に一度、自身の年金額が将来どれくらいになりそうか、確認してみてはいかがでしょうか。おそらく、多くの方が今の手取りよりもかなり少ない金額となり、驚くことになるはずです。
 

出典

厚生労働省 公的年金シミュレーター
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要
 
執筆者:柘植輝
行政書士

ライターさん募集