更新日: 2024.02.02 その他年金
専業主婦が亡くなっても、夫は「遺族年金」を受け取れるの?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
夫は収入要件を満たし、子がいれば、遺族基礎年金を受けられる
会社員の夫であっても子がいれば、専業主婦の妻が亡くなったときに遺族基礎年金を受け取ることができます。
ここでいう「子」は単に「子ども」というだけでは足りず、年齢が一定未満である必要があります。具体的には、18歳になった年度の3月31日までにある、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子が、ここでいう「子」に該当します。
また、夫自身の年収は850万円未満でなければなりません(5年以内に、退職や廃業など850万円未満の年収となると認められる事由がある場合も含む)。
この場合、受け取れる年金額は79万5000円に子の加算額(2人目までは1人につき22万8700円、3人目以降は1人につき7万6200円)となります。
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一定の要件を満たすと、遺族厚生年金も受けられる
妻が現在は専業主婦でも、過去に厚生年金へ加入して働いていたことがあるという場合、遺族厚生年金を受けられます。ただし、専業主婦の妻の国民年金について保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上あるか、または厚生年金の受給権者であるか受給資格を満たしているか、という条件があるようです。
加えて、子がいない場合は死亡当時55歳以上である場合に受給が可能です。ただし、その場合でも実際に支給されるのは60歳からとなります。なお、遺族基礎年金を受け取れる場合は、55歳から60歳の間であっても、特例的に遺族厚生年金を受け取ることができるようです。
そのため、専業主婦の妻が亡くなった際に夫が遺族厚生年金を受け取れるのは、かなり限定的な状況であるといえるでしょう。
参考までに、遺族厚生年金の支給額は、報酬比例部分(年金の加入期間や過去の給与などによって決まる基礎的な部分)の4分の3となります。
遺族年金の請求方法
遺族年金は、要件を満たしている方に自動で支給されるものではありません。受給要件を満たしている方が、所定の手続きをすることで、支給されるようになります。
具体的には、年金請求書を最寄りの年金事務所ないし街角の年金相談センターに提出します(遺族基礎年金のみの場合は、住所地の市区役所または町村役場)。
すると、1ヶ月から2ヶ月程度で「年金証書」「年金決定通知書」「年金を受給される皆様へ(パンフレット)」が自宅へ届きます。
そしてそこからさらに1ヶ月から2ヶ月程度が経過して、ようやく遺族年金が振り込まれます。
このように、遺族年金は支給されるまでに時間がかかるので早めの申請をおすすめします。
まとめ
専業主婦の妻が亡くなったとしても、一定の要件を満たすことで、会社員として働いている夫は遺族年金を受け取ることができるようです。ただし、その要件は厳しくなっており、子どものいない夫が遺族年金を受け取ることは、実質的に困難でしょう。
また、遺族年金の受給要件は複雑です。もし、専業主婦の妻が亡くなったとき、自分が遺族年金を受け取ることができるのか気になった場合は、一度最寄りの年金事務所や街角の年金相談センターへ相談してみることをおすすめします。
出典
日本年金機構 遺族年金ガイド
執筆者:柘植輝
行政書士