夫婦で「年210万円」の厚生年金をもらっていました。夫の死後、受け取れるのは「自分の年金」だけになりますか? 遺族年金はいくら支給されるのでしょうか…?
配信日: 2024.02.03
この場合、妻の年齢と厚生年金加入期間によって年金額が変わってくるのです。本記事では、会社員の夫と専業主婦の妻の場合について、試算を入れて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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遺族厚生年金は受け取り年齢がポイントって本当?
遺族厚生年金を受け取るときには、配偶者の受け取り時年齢が重要なポイントとなります。
例えば、60歳になり老齢厚生年金を受け取れることになった場合には65歳までは遺族厚生年金と老齢厚生年金をあわせて受け取ることはできず、いずれかを選んで受け取る申請が必要です。
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遺族厚生年金と老齢厚生年金のどちらを選べば良い?
それでは、妻が60歳から64歳のうちは、遺族厚生年金と老齢厚生年金のどちらを選べば良いのでしょうか。
<遺族厚生年金を選択したほうが良い人>
若いうちに結婚し退職して勤務年数が短い人・専業主婦の期間が長い人は、自分の老齢厚生年金よりも亡くなった夫の遺族厚生年金を選択したほうが、受け取れる金額が高くなる可能性があります。その理由は、遺族厚生年金は配偶者の厚生年金加入期間に応じて年金額が決まるからです。
<自分の老齢厚生年金を選択したほうが良い人>
夫婦共働きで厚生年金に加入していた期間が長い人は、遺族厚生年金よりも老齢厚生年金の金額が多いケースがあります。選択する前に、年金事務所で年金額を試算してもらってからどちらを選ぶか比較すると良いでしょう。
65歳になる前と65歳以降では、もらえる年金額はいくら?
それでは、65歳になる前と65歳以降でのもらえる年金額を試算してみましょう。
<夫婦(子どもなし)の年金加入期間などの条件>
亡くなった夫:厚生年金加入期間38年、老齢厚生年金は年間144万円(遺族厚生年金=144万円×0.75=108万円)
妻:夫より4歳年下で厚生年金加入期間30年、老齢厚生年金年70万円・65歳からの老齢基礎年金は年72万円・65歳になるまでの中高齢寡婦加算59万6300円(中高齢寡婦加算は40歳から65歳になるまでの期間にもらえるお金です)
<妻が65歳未満での年金見込み額>
A:夫の遺族厚生年金108万円+中高齢寡婦加算59万6300円=167万6300円
B:妻の老齢厚生年金70万円
<妻が65歳になってからの年金見込み額>
A:夫の遺族厚生年金の差額が、遺族厚生年金として支給されます。
夫の遺族厚生年金108万円-妻の老齢厚生年金70万円=38万円
遺族厚生年金として支給される38万円+妻の老齢厚生年金70万円+妻の老齢基礎年金72万円=180万円
B:夫の遺族厚生年金108万円×0.75=81万円
妻の老齢厚生年金70万円×0.5=35万円
81万円+35万円+妻の老齢基礎年金72万円=188万円
65歳未満と65歳になってから、AまたはBのどちらか多いほうの金額を選んで受け取ることになります。遺族厚生年金と老齢基礎年金はあわせて受け取れるので、65歳からの年金見込み額が多くなる試算結果になりました。
両方に共通する点としては、遺族厚生年金は非課税ですが老齢厚生年金は所得税などが課税されるため、試算よりも手取り金額が少なくなることを考慮する必要があります。
まとめ
遺族厚生年金の受け取り金額は、65歳になる前と65歳からでは変わります。どちらを選べば良いのか、もらえる年金見込み額はいくらになりそうか、年金事務所や専門家に相談してから選ぶことが望ましいでしょう。
出典
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 た行 中高齢寡婦加算
地方職員共済組合 65歳以上の遺族厚生年金
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー