更新日: 2024.02.14 国民年金
【どこまでが本当?】失業給付を受けると年金が受けられなくなるの?
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。
日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。
基本手当と65歳前の年金との調整
65歳前(65歳の誕生日の前々日まで)に離職し、失業した場合の失業給付として基本手当があります。基本手当は、離職後、公共職業安定所(ハローワーク)に求職の申し込みをし、失業と認定された日について支給されます。失業の認定は、原則28日に1回失業認定日に、その直前の28日の各日について行われます。
賃金日額(離職前6ヶ月間の賞与等を除いた賃金を180で割った額)の45~80%分が基本手当の日額として計算されます(※金額に上限と下限あり)。離職前の雇用保険の被保険者であった期間に応じ、原則90日分か120日分か150日分までを上限として基本手当が受給できます。受給できる期間は、原則離職日の翌日から1年間です。
一方、年金について、60代前半では生年月日によって特別支給の老齢厚生年金(特老厚)が支給されます。また、本来65歳から受給できる老齢厚生年金について、要件を満たせば60代前半から繰上げ受給することも可能です。
しかし、特老厚や繰り上げした老齢厚生年金を受給する65歳未満の人が基本手当を受けるようになると、これらの年金はその間受けられなくなります。離職後、求職の申し込みをした月の翌月分から当該年金が支給停止されることになっています。なお、65歳前に繰上げ受給する老齢基礎年金は支給調整の対象にはなりません。
基本手当の支給が終わると、停止されていた年金の支給が再開されます。基本手当は日額で計算され、年金は「○年○月分」と月単位で計算されることから、一部の基本手当支給月について、年金の支給停止の解除(事後精算)が行われることもあります。
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65歳以降の年金とは調整されない
年金は65歳になると特老厚はなくなりますが、65歳以降は老齢基礎年金と老齢厚生年金が受給できます。失業給付については、65歳の誕生日の前々日までに離職した場合であれば、ハローワークへの求職の申す込みや失業の認定が65歳以降であっても基本手当の対象になります。しかし、基本手当と老齢基礎年金・老齢厚生年金については調整されず、いずれも受給できます。
一方、65歳以降(65歳の誕生日の前日以降)に離職した場合は、失業給付としては基本手当は支給されない代わりに高年齢求職者給付金が支給されます(【図表1】)。
高年齢求職者給付金は失業の認定が1回限りで、基本手当の50日分か30日分が一時金として支給されます。90日分は支給される基本手当と比べると少ない日数ですが、この高年齢求職者給付金についても、老齢基礎年金や老齢厚生年金との調整はなく、併せて受給できます。
事前に確認することが大切
失業給付と年金の調整をまとめると【図表2】のとおりです。
失業給付と年金、2つの制度が関係しますので、調整されそうな場合は、受給額、調整期間などをハローワークと年金事務所両方に確認しながら、最善の受給ができるようにしましょう。
65歳の直前に退職すれば、高年齢求職者給付金より給付日数が多い基本手当と65歳以降の年金で併せて受給することは可能です。しかし、勤務先の就業規則で65歳定年となっているところを65歳前に辞めると、自己都合退職となって基本手当の給付制限があったり、早期に退職した分退職金等が減ったりすることもあります。その点の確認も事前に必要となるでしょう。
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー