年収「600万円」でも老後は生活できない!? 夫婦で年金を「月20万円」受け取れる年収とは? 会社員の夫・パートの妻の場合で試算

配信日: 2024.02.25 更新日: 2024.02.27

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年収「600万円」でも老後は生活できない!? 夫婦で年金を「月20万円」受け取れる年収とは? 会社員の夫・パートの妻の場合で試算
高齢になると、多くの人の主な収入源は年金となります。そのため、実際に毎月いくらの年金をもらうことができるか不安に感じる人は多いのではないでしょうか。厚生労働省によれば、夫婦2人分の標準的な年金額はおよそ23万円です。
 
では、現役時代にどれくらいの年収があれば夫婦あわせて年金20万円を受け取ることができるのか、会社員の夫とパートの妻(国民年金第3号被保険者)のケースで考えてみましょう。
 
本記事では国民年金と厚生年金を区別して説明します。また、計算は簡略化していますので、実際の金額と異なることがあります。
御手洗康之

執筆者:御手洗康之(みたらい やすゆき)

CFP、行政書士

夫婦で毎月20万円の年金なら、現役時代には月収約30万円必要

今回のケースでは、夫は老齢基礎年金(以下:国民年金)と老齢厚生年金(以下:厚生年金)を受給できます。妻はパートで働いていますが、夫の社会保険の扶養に入っているので、国民年金のみ受け取ることができます。
 
2024年度の国民年金満額は81万6000円(月額6万8000円)です。そのため、国民年金は夫婦2名で163万2000円となり、毎月20万円(年額240万円)の年金を受け取るには、夫の厚生年金の必要金額は、77万円という計算になります。
 
図表1

今回のケースを基に筆者作成
 
次に、厚生年金の計算方法です。以下のように計算します。
 
【厚生年金額=平均標準報酬額×5.481/1000×被保険者月数】
 
具体的な厚生年金の必要金額を77万円、被保険者月数を40年間(480ヶ月)として、この式にあてはめると、以下のようになります。
 
77万円=平均標準報酬額×5.481/1000×480
これを計算すると、平均標準報酬額は29万3000円となります。
 
つまり、夫が40年間働き、退職後に夫婦2名で毎月20万円の年金をもらいたい場合、その期間の平均報酬額(ボーナス等も含む)は約30万円必要です。仮に、標準的な年金と紹介されている23万円(年間約276万円)だと、厚生年金で必要な額が9万4000円(年間約113万円)となり、平均報酬額はおよそ43万円まで増えます。
 
図表2は、各年代の平均年収と厚生年金の概算金額を示しています。現在の年収が600万円だとしても、今までの(これからの)年収によっては、標準的な年金額に届かない可能性があることは認識しておきましょう。
 
図表2

筆者作成
 

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年金額を増やすためにできる行動は?

今から年収を大きく増やすのは簡単ではないと思う人が多いと思います。それでは将来的に受給できる年金額を増やす方法はあるのでしょうか? 年金の受給額を増やすためのおすすめは以下の2つの方法です。

●高齢になっても就労を継続する
●年金の繰下げ受給をする

定年後も働くことで、厚生年金の被保険者月数を伸ばすことができます。厚生年金加入月数を伸ばすと、先ほど紹介した計算式の「被保険者月数」を大きくすることができます。
 
仮に平均標準報酬額が40万円となる場合、40万円×5.481/1000≒2200円となるので、1ヶ月働けば年間で2200円、1年長く働けば2万6400円年金が増える計算になります。ただし、厚生年金保険の加入期間は原則70歳までとなります。
 
また、年金の繰下げ受給も有効な方法です。年金の受給開始を遅らせると、ひと月につき0.7%増額された年金を受給できます。つまり、70歳から年金受給を開始すれば、0.7%×60(12ヶ月×5年)=42%の増額となります。仮に20万円の年金額なら20万円×1.42=28万4000円まで増額となります。
 
年金の繰下げ受給は一生涯増額された金額となるので、受給開始までの生活費に不安がないのであればおすすめです。
 

まとめ

将来どのような生活を送れそうなのかを検討するためには、自分が年金をいくら受給できそうなのかを知っておくことが重要です。簡単な計算方法は本記事で紹介しました。生涯の平均月収が約30万円あれば、夫婦2名で毎月20万円程度の金額は受給できそうです。自身の詳細な情報が知りたい場合は年金事務所や年金相談センターなどへ問い合わせてください。
 

出典

厚生労働省 令和6年度の年金額改定についてお知らせします
日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
執筆者:御手洗康之
AFP、FP2級、簿記2級

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