更新日: 2024.03.08 その他年金

老後も「月給30万円」で働くのですが、年金が「支給停止」になると聞きました。定年後に収入が多いとダメなのですか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

老後も「月給30万円」で働くのですが、年金が「支給停止」になると聞きました。定年後に収入が多いとダメなのですか?
老齢厚生年金を受給している60歳以上の人で、厚生年金保険に加入して働いている人は、受け取る給与額によって年金額の一部または全部の支給が停止されることがあります。これを「在職老齢年金の支給停止」といいます。年金を受給している人で再就職を検討しているケースや、再雇用先で一定の給与をもらっている場合などは注意が必要です。
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在職老齢年金の支給が停止される金額は、基本月額と総報酬月額相当額の合計で判断

在職老齢年金の支給が停止される金額は、基本月額と総報酬月額相当額の合計で判断できます。
 
基本月額とは、受け取っている厚生年金額(年額)を12で割った金額で、総報酬月額相当額とは「毎月の賃金(標準報酬月額)+1年間の賞与(標準賞与額)÷12」で求められる金額です。合計が48万円以下であれば全額支給されます。48万円を超えると金額に応じて支給停止額が決まります。
 

月給30万円の人が気にするべき年金支給停止額(賞与の金額別)

月給30万円の場合、年金が支給停止されるかどうかは受け取っている年金額と1年間の賞与によって異なります。国税庁の令和4年分民間給与実態統計調査から、年収300万円超400万円以下(平均月給約30万8500円)の人のデータを当てはめ、1年間の賞与を43万1000円と仮定します。
 
この場合、総報酬月額相当額は、約33万5916円(毎月の賃金30万円+1年間の賞与43万1000円÷12)です。支給停止の基準となる48万円を超えるのは厚生年金の基本月額が14万4084円を超えた(48万円-約33万5916円)場合ということになります。
 
仮に月給30万円で1年間の賞与がない場合、総報酬月額相当額は30万円で、48万円を超えるのは厚生年金の基本月額が18万円を超えた場合となります。
 
賞与が10万円の場合は48万円-(30万円+10万円÷12)=約17万1667円を超えた場合、賞与が30万円の場合は48万円-(30万円+30万円÷12)=15万5000円を超えた場合、賞与が50万円の場合は48万円-(30万円+50万円÷12)=約13万8334円を超えた場合が支給停止の目安です。
 
月給30万円に対し賞与が高額なケースも計算してみます。賞与が100万円の場合は厚生年金の基本月額が48万円-(30万円+100万円÷12)=約9万6667円を超えた場合、賞与が200万円の場合は厚生年金の基本月額が48万円-(30万円+200万円÷12)=約1万3334円を超えた場合が支給停止の基準です。
 
ただし、基本月額と総報酬月額相当額の合計が48万円を超えたからといって全額が支給停止になるわけではありません。計算に基づいて支給停止額が定められます。
 

賞与がない場合と賞与が多い場合で支給の条件が異なる

令和4年度における厚生年金保険受給者の平均年金月額は約14万5000円です。この金額は老齢基礎年金を含むため一概に比較はできませんが、賞与がない場合や少ない場合は全額を受け取ることができ、賞与が多い人は一部または全部が支給停止になる可能性が高いと考えられます。
 

賞与や現在受給している厚生年金保険額を元に確認してみよう

月給30万円で働く場合、厚生年金保険料を満額受給できるかどうかは賞与や現在受給している厚生年金保険額によって異なります。賞与が少ない場合は満額受給でき、賞与が多い場合は一部または全部が支給停止となる可能性が高いです。
 
支給停止となった場合も、基本月額と総報酬月額相当額の合計に基づいた計算によって停止される金額が決まるので、基準を超えた人全員が全額停止になるというわけではありません。賞与や受給している厚生年金保険額を元に計算し、確認してみましょう。
 

出典

日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
国税庁 標本調査結果 令和4年分民間給与実態統計調査結果 統計表第3表給与階級別の総括表
厚生労働省年金局 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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