「子なし配偶者」は遺族年金を受け取れないとSNSで見ました……遺族年金の受給要件とは?
配信日: 2024.03.11
そこで、遺族年金の受給要件をまとめてみました。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
遺族基礎年金の要件
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金とがあります。日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」によると、遺族基礎年金の受給については、亡くなった方が下記の要件のうちいずれか一つを満たしている必要があるようです。
(1)国民年金の被保険者である間に死亡したとき
(2)国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
(3)老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき
(4)老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
(1)と(2)に該当する場合には、死亡日の前日において、保険料免除期間を含む保険料納付済期間が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要となります。
ただし、死亡日が令和8年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければいいことになっているようです。
また、(3)と(4)の要件に該当する場合は、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上あることが必要です。
さらに上記条件に加えて、受け取り手は、下記の要件のうちどちらかを満たすことが必要になります。
(1)子のある配偶者である
(2)自身が子である
ここでいう「子」とは、18歳になった年度の3月31日までにある方(障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方の場合は20歳未満)をいいます。また、子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間や、子に生計を同じくする父または母がいる間は、子には遺族基礎年金は支給されません。
なお、遺族基礎年金の支給額は、67歳以上の方には79万5000円に子の数に応じた加算額を加えた額になります(68歳以上の方は79万600円+子の数に応じた加算額)。子の加算額は、2人目までは各22万8700円、3人目以降は1人につき7万6200円となります。
このように、遺族基礎年金は子ないし子のある妻しか受け取れないものであり、配偶者であれば誰でも受け取れるわけではないのです。
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遺族厚生年金の要件は?
日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」によると、遺族厚生年金を受け取るには、亡くなった方が下記の要件のうちいずれか一つを満たしている必要があるようです。
(1)厚生年金保険の被保険者である間に死亡した
(2)厚生年金保険の被保険者期間中に初診日がある病気やけがが原因で、かつ、初診日から5年以内に死亡した
(3)1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡した
(4)老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡した
(5)老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡した
(1)および(2)の要件については、死亡日の前日において、保険料免除期間を含む保険料納付済期間が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。ただし、死亡日が令和8年3月末日までのときは、亡くなった方が65歳未満である場合、死亡日の前日時点で死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければいいことになっています。
(4)および(5)の要件に該当する場合は、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上あることが必要となります。
また、厚生年金の受給対象者は下記のうち最も順位の高い方となります。
1.子のある配偶者
2.子
3.子のない配偶者(30歳未満の妻は5年間のみの受給となります。また、子のない夫が受給できるのは55歳以上である場合となり、かつ受給開始は60歳からとなります)
4.55歳以上の父母(受給開始は60歳からとなります)
5.孫
6.55歳以上の祖父母(受給開始は60歳からとなります)
※子については、遺族基礎年金と同様の定義で、以下も同様とします。
遺族厚生年金の受給額は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額となります。例えば、厚生年金を12万円受け取れる方が亡くなったとした場合、おおむね9万円が遺族厚生年金から支給されるようなイメージです。
遺族年金を受給するには申請が必要
遺族年金を受給するには、申請手続きが必要となります。要件を満たしていれば自動的に支給されるようになるというわけではないのです。
必要な書類としては、例えば年金請求書のほか、死亡者との続柄が確認できる戸籍謄本、基礎年金番号通知書もしくは基礎年金番号が確認できる書類など、状況に合わせた書類が求められます。
さらに、申請先は最寄りの年金事務所または街角の年金相談センター、場合によっては市区町村役場になります。申請手続きをしないままでは、いつまでたっても遺族年金が振り込まれないようなので注意が必要です。
また、遺族年金は、申請をしたらすぐに振り込まれるわけではありません。実際に振り込まれるまでには申請から110日程度が目安となります。お金を必要としている場合は、急いで手続きをすることが必要です。
まとめ
遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金とで、それぞれ要件が決まっています。子のない配偶者であっても、一定の要件の下、遺族年金を受け取ることができます。SNSでいわれるように、子なし配偶者は一律に遺族年金を受け取れない、というわけではないのです。
とはいえ、十分な額が受け取れるとは限らず、遺族基礎年金の場合は年間79万5000円(もしくは79万2600円)を基準にした額になります。
遺族年金という制度は非常に複雑です。不明点があれば、最寄りの年金事務所や街角の年金相談センターへ相談することをおすすめします。
出典
日本年金機構
遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
厚生労働省 遺族基礎年金のお手続きの完了について
※2024/3/11 記事を一部修正いたしました。
執筆者:柘植輝
行政書士