更新日: 2024.03.15 国民年金

学生時代の年金「2年分」が未納です。正直2年くらいなら「損」にはならないと思うのですが、老後はどのくらいの「差」になるのでしょうか…?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

学生時代の年金「2年分」が未納です。正直2年くらいなら「損」にはならないと思うのですが、老後はどのくらいの「差」になるのでしょうか…?
学生時代に国民年金保険料を払う余裕がない人もいるでしょう。その場合、定められた期間以内であれば、収入を得られるようになってから払えば問題ありません。一方で、もし未納のままにしておくと、年金支給時にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
 
本記事では、国民年金保険料の学生納付特例制度と追納制度、そして未納期間が将来に与える影響について考えていきます。
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学生納付特例とは?

日本では国民年金保険料の支払いは20歳以上60歳未満の国民の義務です。しかし、経済的な理由からすぐに保険料を支払うことが難しい学生に向けた猶予制度があります。
 
この制度は「学生納付特例」と呼ばれています。この特例を利用できるのは、前年の収入が128万円以下の学生です。さらに扶養家族がいる場合は、その人数に応じて所得の上限が増加します。たとえば、扶養家族が1人いる場合、所得の上限は128万円に38万円増額分をあわせて166万円です。
 
学生納付特例を利用できる学生は、大学生や大学院生だけではなく、短期大学生、高校生、専門学校生なども含みます。つまり、日本国内にあるほとんどの教育機関に在籍している学生が、この制度の対象です。
 
とはいえ、気をつけなければなない点は、この特例は保険料の免除ではなく、支払いの猶予であることです。将来的に収入が安定してくれば、猶予された保険料を追納する必要があります。もし、追納をしない場合、将来受け取る年金の額が減少します。
 

追納制度について

国民年金保険料の学生納付特例制度では、学生時代に猶予された保険料を後から納付することが認められています。この後からの納付を「追納」と呼び、未払いの保険料を後から支払うことで、将来受け取る年金額を確保する仕組みです。追納可能期間は、特例の承認を受けた後10年以内と定められており、この期間内に手続きを完了する必要があります。
 
追納を行う主なメリットは、将来の年金受給額の減額を防げる点にあります。例えば、2年間の保険料納付を猶予されたとします。この2年間分の保険料を追納することで、その期間も保険料納付済期間に含めることができるため、受け取る年金額が減額されません。
 
一方、追納を行わない場合、その2年間は受給資格期間には含まれるものの保険料納付済期間には計算されず、将来受け取れる年金額が減少することになります。
 

学生時代の2年間の未納の影響は?

学生時代に国民年金保険料を2年間納めなかった場合、将来受け取る老齢基礎年金額にどのような影響があるのかを試算してみましょう。例えば、ある年度の老齢基礎年金の満額が年間80万円で未納がなければ満額受け取れると仮定します。ここで、2年間の保険料納付がなかったとすると、その2年分の年金額は次のように計算されます。
 
80万円(老齢基礎年金満額)÷40年(加入期間)×2年(未納期間)=4万円
 
この計算により、2年間の保険料を納めなかったことで、将来受け取る老齢基礎年金が年間4万円減少することになります。さらに、95歳まで生きると仮定した場合は65歳から95歳までの30年間で減少する総額は次のようになります。
 
4万円(年間減少額)×30年(受給期間)=120万円
 
つまり、2年間の保険料未納により、生涯で受け取る老齢基礎年金が120万円減少することになります。
 

未納分は早めに追納しましょう

学生時代の国民年金保険料の未納は、将来の年金受給額に影響を及ぼします。未納期間分については、将来受け取れる年金額が減少するのです。就職して経済的に余裕が持てるようになったときには、未納から10年以内であれば追納を検討することが望ましいでしょう。
 
老後に経済的に安定した生活を送るためには、年金は重要な収入源となります。将来の年金生活を見据えれば、未納分の追納は必須の選択といえます。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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