更新日: 2024.03.25 国民年金
年金額が少なくても諦めないで。その年金増やせるかも!
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
過去の年金記録にも目を向ける
「老後の生活で何が心配ですか?」とたずねられたら、多くの人は「健康」と「老後資金」と回答すると思います。実際に、食生活や運動不足の解消などに関心があるという方も多いでしょう。
一方資金の問題は、長く働くことや資産運用でお金の寿命を延ばすことを紹介される例が増えています。公的年金は終身で受け取ることができます。「予想以上に長生きしたので資金が枯渇しないか?」という、いわゆる長生きのリスクに対応できる優れた制度です。
その公的年金の受給金額を増やす2つの方法として、(1) 長く働く、(2) 繰下げ受給があります。
(1) 長く働くことにより、厚生年金の加入期間を増やし受給金額を増やします。
(2) 本来65歳からの受給ですが、受給時期を66歳以降に遅らせることで受給金額を増やします。75歳まで繰下げることができ、繰下げた月数に応じて1ヶ月あたり0.7%増額します。
これらは60代以降に目を向けた方法ですが、今回は主に過去に目を向けた「任意加入制度」について考えます。
国民年金は20歳から60歳までの40年間(480月)保険料を納付することで、老齢年金を受給する制度です。ですが、学生には学生納付特例制度が認められています。この期間は受給資格を得る期間にはカウントされますが、受給金額には反映されません。
そのため、例えば2年間(24月)の未納期間があれば、65歳から受給できる金額は満額ではなく24/480の部分を減額された金額となります。その欠けた部分を埋める制度が任意加入制度です。もちろん学生の期間だけでなく、何らかの事情で未納期間がある場合に適用されます。
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満額を受給できない場合の対処法
任意加入制度の適用要件は以下のとおりです。
(1) 日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の方
(2) 老齢基礎年金の繰上げ受給をしていない方
(3) 20歳以上60歳未満までの保険料の納付期間が480月(40年)未満の方
(4) 厚生年金保険に加入していない方
このすべてを満たす必要があります。
また、年金の受給資格期間を満たしていない65歳以上70歳未満の方、外国に居住する日本人で20歳以上60歳未満の方も加入できます。
実際にどのようになるのかを見てみます。
令和5年度の保険料:月額1万6520円 年金額:65歳時満額79万5000円で比較すると
支払保険料 1万6520円×24月分=39万6480円
2年間(24月)未納の場合の65歳時受給金額:79万5000円×456/480=75万5250円
39万6480円を払うことで、年間3万9750円受給金額を増やすことができます。約10年で納めた保険料の総額に見合う受給金額に到達します。この後は長生きするほど受け取る年金額が多くなります。
さらに400円をプラスすると付加年金も
さらに老齢基礎年金の受給金額を増やす方法があります。本来の年金保険料は月額1万6520円(令和5年度)ですが、これに月額400円の付加保険料をプラスすることで、付加年金を受け取ることができます。先の例で見てみると下記のようになります。
400円×24月分=9600円 …付加保険料納付額
200円×24月分=4800円 …付加年金額(年額)
65歳から受け取り始めると、2年間で納めた保険料の総額に見合う受給金額に達します。それ以降は長生きするほど年金額が多くなります。
最後に注意点があります。60歳以降65歳までに任意加入で未納分を補塡(ほてん)することができるといっても、64歳になって不足している2年分を払うことはできません。基本的には未納だった月数(例えば24月)、毎月納付していく必要があります。気がつくのが遅れたら「15ヶ月分しか任意加入できなかった」となってしまいます。
「該当しているかな?」と気になった方は、ご自分の納付状況をご確認されることをお勧めします。
出典
日本年金機構 あなたも国民年金を増やしませんか?
日本年金機構 任意加入制度
日本年金機構 付加保険料の納付/5. 老齢基礎年金を受け取るときに加算される額(付加年金額)
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士