就職先に「社会保険」が完備されていなかった!さすがに「違法」じゃないの?

配信日: 2024.04.04

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就職先に「社会保険」が完備されていなかった!さすがに「違法」じゃないの?
「健康保険や厚生年金といった社会保険は、勤務先で加入できて当たり前」と思っていませんか? 時折そういった方が「勤務先で社会保険に加入できない」と悩んでいることがあるようです。そこで、就職先による社会保険について考えてみました。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

社会保険の加入要件

一般的に、就職して働くといえば、株式会社をはじめとした会社への就職でしょう。日本には、大企業から中小企業まであまたの会社があります。株式会社や合同会社といった会社形態の組織は法律上、法人に区分されます。法人においては、従業員を雇う際は社会保険に加入させることが必須とされています。
 
法人の事業所は社会保険の「強制適用事業所」として扱われ、会社の規模や従業員数などにかかわらず、従業員を社会保険に加入させなければならないとされています。強制適用事業所で一定時間以上働く従業員となる方は、一定の年齢に達するまで、健康保険や厚生年金といった社会保険に必ず加入することになります。
 
加入させない場合、事業主は6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金という、非常に大きな罰則を受けるケースもあります。
 
そのため、就職先の会社に社会保険が完備されていないことは、法に違反する状態となります。
 

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個人事業主に雇用される場合、社会保険に加入しないことも認められる

株式会社などの強制適用事業所とは異なり、任意適用事業所となる事業所もあります。
 
任意適用事業所とは、先に述べた強制適用事業所ではないものの、従業員の半数以上が適用事業所となることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受けた事業所のことです。任意適用事業所となった場合、強制適用事業所のように、従業員は社会保険に加入することになります。
 
では、強制適用事業所ではなく、かつ、任意適用事業所にもならない場合はどうなるでしょうか。この場合、どちらにも当てはまらない「適用除外の事業所」として、勤務先で健康保険に加入できないこととなります。
 
例えば、従業員数5人未満の個人事業主がよい例です。原則、従業員数5人未満の個人事業主の事業所は、任意適用事業所とならない限り、適用事業所の条件には当てはまらず、強制適用事業所にも当てはまりません。すると、事業主は従業員を社会保険に加入させる必要がありません。
 
もし、就職先が従業員数5人未満の個人事業主の事業所であれば、社会保険が完備されていなくとも、違法ではないのです。
 

国民年金と厚生年金でどれくらい将来差が出る?

社会保険には健康保険や厚生年金が含まれますが、そのうち多くの方が将来を支える制度として期待を寄せるのが、厚生年金です。知っている方は少なくないでしょうが、国民年金と厚生年金とでは、将来受け取る年金額が大きく異なります。
 
具体的にどれくらい差が出るのかは、本人の働き方や収入によって異なるので、平均額で確認していきましょう。
 
厚生労働省によると、令和4年度末現在における厚生年金受給額の平均月額は、およそ14万5000円です(国民年金部分含む)。それに対して、国民年金のみの場合は、およそ5万6000円となっています。その額はおよそ8万9000円もの差になります。
 
もちろんこれは平均額で比べているのであり、絶対の差ではありません。しかし、社会保険の適用事業所で働くかどうかで、将来の年金給付の額に大きな差が生まれることもあり得なくはなさそうです。
 

まとめ

勤務先が株式会社など法人形態であれば、社会保険の強制適用事業所となるため、社会保険が完備されていない環境は違法となります。
 
一方で、従業員数5人未満の個人事業主であれば、任意適用事業所とならない限り、基本的に社会保険に従業員を加入させる必要がなく、社会保険完備とならなくても違法ではありません。
 
もし、社会保険に加入したいというのであれば、株式会社など法人形態をはじめとする、社会保険の強制加入となっている事業所を選ぶことをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 適用事業所と被保険者
日本年金機構 厚生年金保険・健康保険などの適用促進に向けた取組
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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