40代ですが「年金を払っていなかった時期」があります。今からでも「追納」はできますか?
配信日: 2024.04.04
今回は、国民年金保険料を後から納める方法について考えてみます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
国民年金保険料は追納が可能
国民年金保険料は、原則として毎月一定額を納めなければなりません。しかし、収入が少ないなど保険料の納付が難しい場合は、免除や猶予を受けることができます。このとき、将来の年金額は完全に納めた場合と比べて減ってしまいますが、未納扱いとはならないため、免除や猶予を受けた期間が年金の受給資格期間に含まれるようになります。
また、後から猶予や免除を受けていた間の保険料を支払う「追納」をすることで、将来受け取る年金額を満額に近づけることもできます。
ただし、保険料の免除もしくは猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に追納で保険料を納める場合は、当時の保険料に経過期間に応じた加算額を上乗せした額を納めることになります。
また、追納はいつでも行えるわけではなく、追納が承認された月の前10年以内の免除等期間に限られています。
例えば、20代の頃に免除や猶予されていた分の保険料を40代になって納めるといったことは不可能なため、追納をするのであれば早めに行う必要があります。
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10年を経過後も任意加入ならできる
猶予や免除を受けてから既に10年以上経過しており追納ができない状態や、そもそも何も手続きをせず未納となっていたため追納ができない状態でも、60歳以上65歳未満(年金の受給資格期間を満たしていない場合は65歳以上70歳未満)であれば、「任意加入」によって保険料を納め、国民年金の支給額を満額に近づけることができます。
40代であれば、今はお金をためておき、20年後に任意加入して年金を満額に近づけるといった手段も十分に有効でしょう。
追納や任意加入によって何円増える?
追納や任意加入で増える年金額について、具体的に計算してみましょう。令和5年度ベースでは、国民年金は満額で79万5000円です。この79万5000円を満額受け取るためには、40年間(480月)保険料を納付する必要があります。
仮に、未納となっていた期間を3年間(36月)だと考えると、保険料納付済月数は444月、もらえる年金額は73万5375円となります。満額との差額は5万9625円であり、追納や任意加入によってこの差を縮めることができます。
増えた年金は生涯にわたって受け取ることができるため、国民年金における追納や任意加入の有無は、長い目で見て大きな差となるでしょう。
なお、国民年金保険料は年々上昇傾向にあります。追納や任意加入をする場合は、可能な限り早めにしておく方がよいでしょう。
まとめ
国民年金保険料を支払っていない時期があると、給付額や受給資格期間が減るなど、将来受け取る年金に影響が及んでしまいます。
追納や任意加入は必ずしなければならないというものではありませんが、一度、それによって将来の年金額がどのように変化するか確認し、必要に応じて行うことをおすすめいたします。
出典
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 任意加入制度
執筆者:柘植輝
行政書士