年金を「受け取れずに」死亡した夫…「収入制限」で遺族でも”年金が受け取れない可能性”がありますか?
配信日: 2024.04.04
そこで今回は、配偶者が亡くなったとき、本人が受け取れなかった年金がどうなるのかを考えていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
未支給年金として受け取れる場合がある
配偶者が既に年金の受給権を有していた場合、亡くなった月分の年金や、繰り下げ受給の待機中などでまだ受け取っていない分の年金は、未支給年金としてその方と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます。未支給年金は、あくまでも本人が受け取り損なった年金を遺族が代わりに受け取るものであるため、遺族の収入要件は特に課せられていません。
一方、配偶者が年金の受給権を有していなかった場合、例えば65歳より前に亡くなった場合などは、この限りではありません。年金を受け取れずに亡くなったとはいっても、この場合、配偶者に年金を受け取る権利が生じていないため、未支給年金として本人に代わり遺族が受け取ることはできません。
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遺族年金は受け取れない場合がある
配偶者が亡くなった際の遺族年金に関しては、収入要件を理由に受け取れない場合があります。
遺族年金を受給するためには、亡くなった方によって生計を維持されていなければなりませんが、「生計が維持されている」ことの要件のひとつとして、年収850万円未満であることが求められています。
つまり、遺族の年収が850万円以上の場合、遺族年金を受け取ることはできません。
年収850万円以上というのは平均を大きく上回る年収であるため、該当する方は決して多くはないかもしれませんが、可能性のひとつとして覚えておきましょう。
未支給年金や遺族年金はどうやって受け取る?
未支給年金や遺族年金を受け取るためには、所定の手続きが必要になります。具体的には、「未支給年金請求の届出」や「年金請求書」、その他必要な添付書類を最寄りの年金事務所や街角の年金相談センターなどに提出して、決められた手続きを行います。
実際に必要な書類は個別の事情によって異なることがあります。請求書の記載も含め、社会保障に関する手続きに不慣れな方にとっては難しい手続きになるかもしれません。不明点や疑問点があれば、ねんきんダイヤルや最寄りの年金事務所にて相談してみましょう。
まとめ
配偶者が年金を受け取れずに死亡した場合、年金の受給権が生じていれば未支給年金を、また、受給要件を満たしていれば遺族年金を、その方と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができる可能性があります。
未支給年金に収入要件はありませんが、遺族年金については年収850万円未満という収入制限が課せられています。
未支給年金や遺族年金など、自分が受け取れる可能性がある年金については、収入制限などの受給要件も含めて今一度確認しておくとよいでしょう。
出典
日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
日本年金機構 遺族厚生年金を受けられるとき
日本年金機構 遺族基礎年金を受けられるとき
執筆者:柘植輝
行政書士