70代の親が「年金を受け取らないまま」亡くなっていたようです。これっておかしいですか…?
配信日: 2024.04.08 更新日: 2024.04.23
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執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
年金の受取時期は選ぶことができ、70代で受け取っていなくとも不思議ではない
誰しもが65歳になれば年金を受け取れるようになると思いきや、実はそうではありません。確かに年金は65歳から受け取ることが原則です。しかし、実際には60歳から75歳までの間であれば、任意に年金の受取時期を選ぶこともできます。
このうち、65歳よりも早く受け取ることを「繰上げ受給」といいます。そして、65歳よりも遅く受け取ることを「繰下げ受給」といいます。
もし、70代の親が年金を受け取らないまま亡くなったというのであれば、可能性のひとつとして「繰下げ受給」を選択していたことが考えられます。繰下げ受給をすると、受取時期を1ヶ月繰り下げるごとに、将来受け取る年金額が0.7%増額されます。「より多く年金を受け取ろうと繰下げ受給をし、70代でもまだ年金を受け取っていない」ということは、十分可能性として考えられます。
仮に75歳まで受取時期を繰り下げたとすれば、65歳から受け取る年金月額が8万円の人でも、月額14万7200円にまで増加します。親が年金だけで一人暮らしをすることを目指し、受取時期を繰り下げていたと仮定すれば、70代で年金を受け取っていない可能性は十分考えられるでしょう。
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請求漏れの可能性もある
親が70代になっても年金を受け取っていない場合、「年金は自動で支給される」と思い込んでいて請求手続きをとっていないだけ、という可能性もあるでしょう。
年金は、65歳になったら自動的に支給されるわけではありません。請求手続きを行わなければ、いつまでたっても支給がなされません。繰下げ受給をするつもりはなくとも、年金の請求手続きを失念しており、支給がされていない可能性もあります。
この場合、生計を同じくしていた一定の遺族が「未支給年金」として、本人の受け取るはずであった年金を受け取ることができます。
なお、未支給年金は65歳時点の年金額をベースに計算されます。そのため、親が繰下げ受給を行うために年金を今まで受け取っていなかったとしても、それは考慮されません。
また、未支給年金の請求は受給権が発生してから5年が時効となるため注意しましょう。
未支給年金を受け取るには、所定の手続きが必要になります。手続きの詳細については、最寄りの年金事務所や街角の年金相談センターなどへ相談してください。
未支給年金に加えて、遺族年金が受け取れることもある
もし、亡くなった親に生計を維持されていた一定の遺族がいれば、遺族年金を受け取れる可能性があります。
例えば、父親が亡くなり、その父親に母親が生計を維持されている場合は、一定の要件の下、母に遺族年金が支給される可能性があります。
遺族年金は支給要件が厳密であり、生計を維持されていれば誰でも受け取れるというわけではありません。詳細については、最寄りの年金事務所や街角の年金センターなどへ相談してみてください。
まとめ
70代の親が年金を受け取らずに亡くなっていた場合、繰下げ受給をしているのか、それとも請求忘れのどちらかだと考えられます。
いずれにせよ、状況の確認と、状況に応じた手続きが必要です。できる限り年金事務所などで状況を確認しながら、手続きを進めていくようにしましょう。
出典
日本年金機構 年金受給者が亡くなりましたが、まだ受け取っていない年金があります。どうすればいいですか。
日本年金機構 年金の繰下げ受給
厚生労働省 未支給年金お手続きガイド
※2024/4/8 記事を一部修正いたしました。
執筆者:柘植輝
行政書士