更新日: 2024.04.18 その他年金

2024年度の年金額・すべて68歳以下と69歳以上に分かれる?(2)

執筆者 : 井内義典

2024年度の年金額・すべて68歳以下と69歳以上に分かれる?(2)
前回(1)は、2024年度に68歳以下の人は「新規裁定者」(1957年4月2日以降生まれ)と「68歳既裁定者」(1956年4月2日~1957年4月1日生まれ)、69歳以上の人は「69歳以上既裁定者」(1956年4月1日以前生まれ)として、生年月日・年齢による年金額の相違の有無を解説しました。
 
老齢厚生年金・障害厚生年金の加給年金の額については、加算される本人の年齢にかかわらず、同じ計算方法・額でした。年金制度の加算は他にもあり、今回これらが68歳以下の人と69歳以上の人で異なるかどうかを見てみます。
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

障害基礎年金・遺族基礎年金の子の加算は同じ額

前回(1)で取り上げた障害基礎年金(障害等級1級・2級)や遺族基礎年金(基本額)を受給する場合、受給する人に18歳年度末までの子(一定の障害がある場合は20歳未満の子)がいることによる加算があります。具体的な加算額は【図表1】のとおりです。
 


 
子の数に応じて加算額が変わることになっていますが、その加算額についても新規裁定者の額で計算されることになっているため、2023年度同様、2024年度も当該加算部分を受給する本人の年齢に関係なく同じ額となっています。
 

振替加算については年齢によって計算の根拠が異なる

老齢厚生年金や障害厚生年金の加給年金については、前回(1)で説明したとおりです。加給年金の加算対象者である配偶者が厚生年金の加入期間が20年未満であるケースにおいては、老齢基礎年金に振替加算されることがあります。
 
また、生年月日により加算額や加算の有無が異なるのですが、この振替加算については68歳以下の人(新規裁定者・68歳既裁定者)と69歳以上の人(69歳以上既裁定者)で加算額の計算方法が異なります。
 
1926年4月2日~1966年4月1日生まれの人を対象とするその振替加算は、65歳以上に加算されますので、2024年度は1960年4月1日以前生まれの人が加算対象となり、【図表2】の計算根拠に基づいて支給されます。
 


 
振替加算の額の算出は、「22万4700円(法定額)×改定率」に生年月日に応じた「政令で定める率」を掛けます。
 
2024年度の「22万4700円×改定率」は、新規裁定者・68歳既裁定者が23万4800円(22万4700円×改定率1.045。100円未満四捨五入)で、69歳以上既裁定者が23万4100円(22万4700円×改定率1.042。100円未満四捨五入)となっています。
 
つまり、68歳以下と69歳以上で基準となる額が異なっています。そして、23万4800円あるいは23万4100円に「政令で定める率」を掛けて実際に支給される振替加算の額が決まります(【図表2】の「2024年度の振替加算の額」)。
 
以上説明してきた根拠に基づいて計算されます。2024年度に加算される65歳以上の人は加算額についてぜひ一度確認してみるとよいでしょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

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