更新日: 2024.04.21 厚生年金

働いても年金がカットされにくくなる? 2024年度は「50万円基準」!

働いても年金がカットされにくくなる? 2024年度は「50万円基準」!
年金を受けられるようになっても、引き続き会社に勤務していることも多いでしょう。年金を受けられる人が厚生年金に加入していると、年金がカットされることがあります。
 
この年金が調整される仕組みである「在職老齢年金制度」には、基準額が設けられています。その基準額について、2024年度は2023年度から変わりました。
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

在職老齢年金制度とは?

65歳前の特別支給の老齢厚生年金や、65歳からの老齢厚生年金を受けられる人が厚生年金被保険者となると、在職老齢年金制度の仕組みによって年金が支給停止となるケースがあります。
 
具体的には、(1)報酬比例部分の年金の月額(基本月額)と(2)標準報酬月額、(3)直近1年の標準賞与額の12分の1((2)(3)と合わせて総報酬月額相当額)を合計して「支給停止調整額」を超えた場合に、超えた分の2分の1の年金について支給停止することになり、支給停止されない残額が支給されます(図表1)。
 
毎月の給与である(2)や賞与である(3)の額が高くなればなるほど、つまり高給取りであればあるほど、年金がカットされやすいことになるでしょう。
 


筆者作成
 
なお、図表1のとおり、報酬比例部分が支給停止の対象ですので、老齢基礎年金や経過的加算額については(1)の年金額にも含まれませんし、また、支給停止の対象とならず、全額支給されます。
 

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48万円基準から50万円基準に

図表1の支給停止調整額が基準額となりますが、2023年度の支給停止調整額は48万円でした。つまり、年金(報酬比例部分)の月額と月給と賞与の12分の1を合計し、それが48万円を超えた場合に、超えた分の2分の1の年金がカットされることになります。そのため、「48万円基準」といわれています。
 
しかし、この48万円の支給停止調整額については、2024年度は50万円になりました。つまり、2024年度は「50万円基準」となります。
 
支給停止調整額は2005年度を基準として、法定額(48万円)から名目賃金変動率を用いて毎年度見直しがされますが、その名目賃金変動率の累積率により、2024年度は50万円で計算されることになります(図表2)。
 


筆者作成
 
過去の年度では、支給停止調整額が46万円だった年度や47万円だった年度もありました。これらも法定額(48万円)を基準に名目賃金変動率を掛け続けた結果でしたが、2024年度は、名目賃金変動率が+3.1%と大幅に上がったことから、支給停止調整額が2万円も上がったことになります。
 

いくら支給されるか、支給停止されるかの確認を

支給停止調整額が50万円へと2万円上がったことにより、それだけを見れば年金はカットされにくくなったとも見えます。しかし、この支給停止調整額が上がる一方で、2024年度は2023年度より受給する年金額、つまり、図表1の(1)の基本月額も上がることになります。
 
在職老齢年金の計算上においては、その点も考慮する必要があるでしょう。年金を受給しながら引き続き働く人は、いくら支給停止され、いくら支給されるか、日本年金機構などから送られる通知で確認してみましょう。
 
なお、現在、在職老齢年金制度を廃止すべきという意見も政府内で出ています。今後、制度の改正・見直しが行われるかもしれませんので、その動向にも注目しておきたいところでしょう。
 

出典

日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

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