更新日: 2024.04.25 その他年金

62歳の夫が急逝…子どもがいないのですが、現在60歳の私は「遺族年金」をいくらもらえますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

62歳の夫が急逝…子どもがいないのですが、現在60歳の私は「遺族年金」をいくらもらえますか?
夫や妻など、家族が亡くなったときに条件に該当していれば遺族年金を受給できます。ただし、遺族年金の種類によって対象の遺族が異なるため、注意が必要です。
 
さらに、もし妻が60歳で子どももいない場合は、遺族厚生年金に加えて中高齢寡婦加算の対象になるケースもあるので、チェックしておきましょう。
 
今回は、遺族年金の概要や60歳で子どものいない妻は遺族年金をいくら受け取れるのかなどについてご紹介します。
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執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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遺族年金の概要

遺族年金は、年金を受給中の方や受け取る予定であった方(以降、本人)が亡くなった場合に、条件を満たしている遺族へ支給される年金です。遺族年金の種類によって、条件や受け取れる遺族の範囲も異なります。
 
2種類の遺族年金における条件や支給される遺族の範囲は表1の通りです。
 
表1

遺族基礎年金 遺族厚生年金
亡くなった時点で本人の年金状況がいずれかに当てはまっている ・国民年金に加入中だった
・60~65歳未満の国民年金加入者で、日本国内に住所を有していた
・老齢基礎年金の受給権を有していた
・老齢基礎年金の受給資格を満たしていた
・厚生年金に加入中だった
・厚生年金の加入中に初診日があり、そのけがや病気が原因で初診日から5年以内に亡くなった
・1級・2級の障害厚生(共済)年金を受給中だった
・老齢厚生年金の受給権を有していた
・老齢厚生年金の受給資格を満たしていた
支給される遺族 本人に生計を維持されていた以下の遺族
1子どものいる配偶者
2子ども
本人に生計を維持されていた以下の遺族のうち、最も優先順位の高い方
1子どものいる配偶者
2子ども
3子どものいない配偶者
4両親
5孫
6祖父母
金額 【子どものいる配偶者が受け取る場合】
・昭和31年4月2日以降生まれ:81万6000円+子どもの人数に応じた加算額
・昭和31年4月1日以前生まれ:81万3700円+子どもの人数に応じた加算額
【子どもが受け取る場合】
1人あたり「81万6000円+2人目以降の子どもの加算額」を子どもの数で割った額
・本人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3
状況に応じて加算される金額 子どもの加算額:1人目と2人目は1人につき23万4800円
3人目以降は1人につき7万8300円
中高齢寡婦加算:条件に当てはまっていれば年間61万2000円が加算される

※筆者作成
 
この場合の子どもとは、18歳になった年度の3月31日までにある人や20歳未満で一定の障害の状態にある人をいいます。
 
中高齢寡婦加算とは、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取っており子どもが18歳を超えるなどで遺族基礎年金の対象外となった妻、もしくは夫が亡くなったとき40~65歳未満で生計を同じくしている子どものいない妻が、40歳~65歳になるまでの間、遺族厚生年金の金額に年間61万2000円が加えられる制度です。
 
ただし、妻が65歳に達すると老齢基礎年金の対象になり、利用できなくなります。
 

遺族年金はどうやって受け取る?

遺族年金は申し込みが必要な制度です。死亡診断書のコピーや本人の基礎年金番号が分かる書類などを用意して提出します。本人が亡くなった原因や状況などによって必要な書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。
 

子どものいない60歳妻が受け取れる遺族年金額

遺族基礎年金については、子どものいない60歳妻は表1より対象外のため、受け取れません。
 
また、遺族厚生年金は本人の老齢厚生年金の報酬比例部分を基に計算するため、今回は夫の報酬比例部分が100万円だったと仮定して計算しましょう。
 
報酬比例部分が100万円だと、妻が受給できる遺族厚生年金額は4分の3の75万円です。さらに、中高齢寡婦加算の対象にもなるので、年額61万2000円が加えられ、合計で年額136万2000円を受け取れる計算になります。月額だと11万3500円です。
 

子どものいない60歳妻は遺族厚生年金のみ受給対象だが、中高齢寡婦加算が加算される

夫や妻など、家族が亡くなったときに受給できる可能性のある年金が遺族年金です。遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。遺族厚生年金は、亡くなった本人の老齢厚生年金の報酬比例部分のうち4分の3の金額を受給可能です。
 
しかし、今回の事例のように子どもがいない場合、妻は遺族基礎年金を受け取れません。遺族厚生年金を受け取れる条件を満たしているなら、その代わりに、中高齢寡婦加算の対象となり、年額61万2000円を追加で受け取れます。
 
例えば、老齢厚生年金の報酬比例部分が100万円の夫が亡くなった場合、60歳の妻は年間で136万2000円を受給できるという計算になります。
 

出典

日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金を受けられるとき
日本年金機構 遺族基礎年金を受けられるとき
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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