更新日: 2021.06.21 iDeCo(確定拠出年金)
iDeCo+とは?概要やメリットを分かりやすく解説
管轄する厚生労働省が、中小企業に勤める会社員への個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入促進の一環として開始した、新たな制度です。
また、同年8月にはその愛称が決定し、「iDeCo+(イデコプラス)」となりました。
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執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
iDeCo+とは?
この制度をひと言でいうと「中小企業に勤めている会社員で、iDeCo加入者である方の掛金の一部を事業主が負担できる制度」となります。
つまり、iDeCo+が導入されると、本来加入者である個人が全額拠出するべきiDeCoの掛金の一部を、事業主負担で拠出してくれることになります。
制度的には企業側が掛金を追加で拠出する、いわゆる「逆マッチング」とも言われています。
また、企業がiDeCo+を導入する条件としては、従業員数が100人以下であること、企業年金(企業型DC、確定給付企業年金、厚生年金基金)を導入していないこと、労使の合意があることなどがあります。
企業年金が導入されていない企業に勤めている会社員の場合、iDeCoの掛金の上限は、月額2万3000円(年額27万6000円)となります。
そして、通常その掛金は、加入者である会社員個人が全額拠出することになりますが、企業にiDeCo+が導入された場合は、加入者と事業主との合意によって、双方が任意の金額ずつ拠出することが可能になります。
その時それぞれが拠出する掛金を、「加入者掛金」「事業主掛金」と言います。
例えば、上限の2万3000円を拠出する場合、加入者掛金は3000円、事業主掛金は2万円などと決めることができます。
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iDeCo+導入のメリットは?
加入者(会社員)にとっては、たとえ掛金の一部だけだとしても会社が負担してくれるため、メリットしかありません。
掛金の運用指図については、事業主負担分も含めて加入者が自ら行うこととなりますし、60歳以降に受け取る年金についても、全額加入者のものとなります。
つまり、加入者側からすると、自らiDeCoに加入している人だけが特権として享受できる会社の福利厚生制度のようなものと言えます。
強いていえば、通常個人が拠出したiDeCoの掛金は、全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となりますが、事業主負担の部分については、当然ながら所得控除の対象とはなりませんので注意が必要です。
企業側にとってはどうでしょう?
事業主にとっては、単純な意味で負担が増加するという点については、メリットにはなりません。
しかし、事業主掛金については全額経費にできますし、制度の導入コストについても比較的少なく済むなどのメリットがあります。
とかく、中小企業は大企業に比べて、福利厚生制度において大きな格差があると言われているため、中小企業があまりコストをかけずに、気軽に導入できる点などもメリットと言えるでしょう。
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まとめ
2017年の法改正によりiDeCoには、第3号被保険者や公務員などを含む、ほぼ全ての人が加入できるようになりました。
しかし、企業型年金が導入されていない会社に勤める会社員の方は、iDeCoを開始する際に、自らが運営管理機関の比較や選定をしなければならない煩わしさや手数料の負担など、最初の一歩を踏み出すハードルが少し高めに感じられていました。
また、中小企業にとっては、企業型年金制度を導入するほど余力がない場合も多いため、比較的導入しやすいiDeCo+は、社員個々の上乗せ年金を実現し、老後の資産形成を支援するための制度として、選択肢のひとつとなるのかもしれません。
日本においては、公的年金だけではなく、老後の資金として各個々人が自ら備えていくことが必要となっています。
iDeCo+などの制度の導入はもちろんですが、今後さらに、会社員に対する投資教育や実践支援が必要となるでしょう。
Text:高橋 庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー