更新日: 2024.05.08 その他年金

63歳の父が「脳梗塞」で倒れました……。「65歳から」年金を受け取る予定でしたが、受け取れない場合はどうなりますか?

63歳の父が「脳梗塞」で倒れました……。「65歳から」年金を受け取る予定でしたが、受け取れない場合はどうなりますか?
いわゆる年金(老齢年金)は、現在65歳から受け取ることが原則となっています。もし、病気などが原因でそれより前に亡くなり、年金を受け取れなくなった場合はどうなるのでしょうか。63歳で父親が病に伏した方を例に、考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

年金は、受け取る前に亡くなったら、基本受け取れない

年金は原則として、65歳から受け取ることになっています。では、もし65歳より前に亡くなり、年金を受け取ることなく亡くなってしまったら、年金はどうなるのでしょうか。これまで支払いつづけてきた年金保険料は、無駄になってしまうのでしょうか。
 
実際のところ、この点についてですが、基本的には年金は受け取れません。いくら30年や40年と長期間、保険料を滞納することなく支払いつづけてきても、年金を受け取る前に亡くなってしまえば一切受け取れない、というのが原則です。
 
そのため、65歳から年金を受け取る予定の方が63歳時点で亡くなってしまえば、たとえその原因が病気やけがなど不慮のものであっても、年金は1円も受け取ることができません。
 
ただし、その亡くなった方に扶養されており、一定の要件を満たす場合は、「遺族年金」という形で遺族が年金を受け取れる可能性があります。
 

未支給部分があれば未支給年金となる

「年金が受け取れない」と聞くと、「未支給年金はどうなるのか」という意見があるかもしれません。未支給年金とは、年金を受けている方が支給日前に亡くなり、受け取られていないままの年金をいいます。
 
つまり、まだ年金の受取開始前の人には支給部分は発生しておらず、未支給年金として年金は受け取れないということです。この点は勘違いしやすい部分でもありますので、しっかりと確認しておきましょう。
 

そもそも脳梗塞で倒れた場合は、障害年金を受け取れる可能性がある

65歳から受け取る「老齢年金」とは違う種類の年金ですが、所定の障害状態になった場合、本人が「障害年金」を受け取ることができる場合があります。
 
障害年金には、障害基礎年金(国民年金部分)と障害厚生年金(厚生年金部分)とがあります。障害基礎年金には1級と2級が、障害厚生年金には1級から3級までがあります。基本的に、けがや病気の度合いが重いほど、等級の数字が小さくなっていきます。
 
参考までに、63歳で障害状態になった場合、それが障害基礎年金の1級(他人の介助を受けなければ日常生活がほとんどできないほどの障害の状態)に該当すると、99万3750円が支給されます。2級(必ずしも他人の助けを借りる必要はなくても、日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができない)に該当すると、79万5000円を受け取ることができます。
 
また、障害厚生年金は障害基礎年金よりも対象となる障害の範囲が広く、1級から3級まであります。障害厚生年金で受給できる金額も、老齢厚生年金のように、おおむね収入や加入年数に比例するため、金額は人によって差が付きます。
 

まとめ

原則として年金は65歳から受け取ることになりますが、それよりも前に病気やけがなどで亡くなってしまうと、原則として年金を受け取ることができません。とはいえ生きていれば、遺族年金を受け取れなくとも障害年金を受け取れる場合があります。
 
障害年金を含め、年金の制度は複雑です。気になる点や不明点があれば、最寄りの年金事務所などへ相談してみてください。
 

出典

日本年金機構 障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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