50歳で「年収500万円」です。老後に貯蓄を崩さず、専業主婦の妻と「年金だけ」で暮らすには何歳まで働けばいいですか?
配信日: 2024.05.17
なお、年金は65歳よりも受給開始年齢を遅らせること(繰下げ受給)で、受給金額を増やすことが可能です。
本記事では、年収500万円の会社員と専業主婦の妻が、老後に貯蓄を崩すことなく年金のみで生活をやりくりするには、何歳まで働けばいいのかを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
老後に必要な生活費は毎月約28万円
老後に必要な生活費は夫婦がどのような生活を送っているかによって異なりますが、今回は総務省の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」を参考にします。
同調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均的な支出は毎月28万2497円です。一年間では338万9964円必要です。
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会社員の夫と専業主婦が受け取れる年金の種類
日本の年金制度は国民年金と厚生年金の2階建てです。会社員は国民年金と厚生年金に加入しており、老後は老齢基礎年金と老齢厚生年金を、会社員経験がない専業主婦は老齢基礎年金のみ受け取れます。
会社員の夫と専業主婦が受け取れる年金の金額
老後に受け取る年金の金額は、老齢基礎年金は国民年金の保険料納付期間などによって決まり、老齢厚生年金は厚生年金の保険料納付期間と現役当時の収入額次第です。今回は夫婦ともに老齢基礎年金は満額受給できるものとして計算します。
また、夫については20~60歳の40年間会社員として働き、その間の平均年収が500万円だったとします。
老齢基礎年金の満額は2024年度においては年間で81万6000円ですので、夫婦2人分では163万2000円です。
老齢厚生年金は「報酬比例部分」「経過的加算」「加給年金額」がありますが、今回はメインの「報酬比例部分」について見ていきます。報酬比例部分で受け取れる年間の年金額は「平均標準報酬額×5.481÷1000×加入月数」です。
20~60歳まで会社員として働き、この間の平均年収が500万円の場合、受け取れる年間の報酬比例部分は次のとおりです。
41万円×5.481÷1000×480ヶ月=約107万8661円
先ほどの夫婦2人分の老齢基礎年金の163万2000円と合わせると、合計で約271万661円です。
年金だけでは生活が難しい場合は繰下げ受給の検討を
今回のケースでは、老後に毎年必要なお金は338万9964円(月28万2497円)ですが、夫婦でもらえる年金は271万661円の年金ですので、年金だけでは生活ができません。
しかし、年金は65歳から受け取らずに75歳まで受給開始時期を遅らせることができます(繰下げ受給)。そして、1ヶ月遅らせるたびに、65歳から受け取るはずだった年金額に0.7%が上乗せされて支給されます。
では今回のケースで、夫婦で年金を毎月28万円もらえるようになるタイミングはいつでしょうか。
老後に必要なお金である338万9964円は、夫婦が65歳から受け取れる年金額の271万661円より25.06%多いです。もしも夫婦が同じ年齢だとすると、年金の増額率が25.06%を超えるのは68歳0ヶ月です。
つまり、67歳12ヶ月まで年金を受け取らずに働いて給料から生活費を捻出し、68歳0ヶ月以降は年金のみを収入源とする生活に移行しても、計算上では年金だけで生活ができます。
実際に何歳以降年金だけで生活できるかは個人でシミュレーションしよう
今回は平均的なケースで条件を簡略化して計算しましたが、実際には支出も年金も家庭によって異なります。
また、今回は計算を省略しましたが、67歳まで会社員で厚生年金に加入して生活費を捻出した場合、60~67歳の間に支払った年金保険料の分、受け取れる年金額も増えます。自分の家庭だとどうなるかについては、本記事を参考にシミュレーションしてみましょう。
出典
総務省 家計調査報告〔家計収支編〕 2023年(令和5年)平均結果の概要
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー