更新日: 2024.05.30 その他年金
54歳専業主婦、年金は夫婦合わせて「17万円」の見込みです。もし夫が先に死亡したら、私の年金と「遺族年金」だけで生活できるでしょうか? 貯蓄は400万円ほどです
しかし、もし夫が先に亡くなってしまった場合、専業主婦だった妻の暮らしはどうなるのでしょうか? 会社員として長年働き、毎月支払ってきた夫の年金は全てなくなってしまうのでしょうか?
本記事では、遺族年金の種類や支給額の決定方法、夫の職種による違い、妻だけで暮らす場合にどの程度の収入であれば老後の生活が成り立つのかを解説します。
執筆者:根本由佳(ねもと ゆか)
FP2級、中小企業診断士
遺族年金とは?
遺族年金とは、国民年金または厚生年金保険の被保険者または被保険者であった人が亡くなったときに、その人によって生計を維持されていた遺族が受け取ることができる年金です。遺族年金には次の種類があります。
・遺族基礎年金→国民年金に加入していた人が亡くなった場合、遺族に支給される年金
・遺族厚生年金→厚生年金保険に加入していた人が亡くなった場合、遺族に支給される年金
夫が自営業などで国民年金のみの場合は遺族基礎年金のみが支給されます。子のある配偶者または子どもが受給でき、子どもには18歳未満、または障害等級1・2級の20歳未満という条件があります。子どものいない配偶者や、子どもがいても条件外である配偶者は受給できません。
夫が会社員や公務員などで厚生年金に加入している場合は、遺族基礎年金に加えて遺族厚生年金があります。遺族厚生年金を受給できるのは、配偶者・子ども(遺族基礎年金と同条件)・父母・孫(子どもと同条件)・祖父母のうち最も順位が高い人です。なお配偶者は事実婚であっても必要な手続きをして認定されれば受給できます。
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遺族年金額は保険料の支払い状況や収入額で変わる
遺族基礎年金の金額は一律で、2024年4月分からは年額81万6000円+子の加算分となっています。ただし、死亡日の前日において保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。未納期間が長い場合は受給できない可能性があります。
遺族厚生年金は、亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3にあたる額が支給されます。報酬比例部分は年金の加入期間や過去の収入などの金額によって変わります。
また既に老齢厚生年金を受給している人が亡くなった場合は、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間(加入期間のみ算入し年金額には反映しない期間)を合算した期間が25年以上ある場合に限り受給できます。
貯蓄400万円+遺族年金+妻の年金で生活できるか?
今回の事例で、子どもは成人しており、65歳から年金を受給し始めた後に夫が先に亡くなったと仮定して、妻1人となった後の毎月の年金額を試算します。まず遺族基礎年金ですが、子どもが成人しているので受給資格はありません。
次に遺族厚生年金です。夫婦2人分の年金が合わせて月額「17万円」だった場合、その内訳は「夫の老齢厚生年金3万4000円+夫婦の老齢基礎年金6万8000円(2024年4月の年金額を参照)×2人分」となり、夫が死亡した場合の遺族厚生年金は2万5500円(老齢厚生年金の4分の3相当額)です。
年金には「1人1年金」という原則があり、支給事由(老齢、障害、遺族)の異なる年金のうちいずれか1つを選択します。しかし専業主婦や自営業などで老齢基礎年金しかない人は、特例的に遺族厚生年金と合わせて受給できます。
今回の事例では「夫が亡くなった場合の遺族厚生年金2万5500円+妻の老齢基礎年金=9万3500円」が妻1人になった後、毎月もらえる年金額です。
総務省の「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和4年)」によると、65歳以上の単身無職世帯の消費支出は1ヶ月あたり14万3139円です。年金額9万3500円との差額4万9639円の赤字を400万円の貯蓄から切り崩すとすると約80ヶ月、7年弱で使い切ることになり、生活の維持は厳しくなることが予想されます。
まとめ
夫婦2人から1人になると年金額は大きく変わります。また生前の職業などの条件により受給できる年金の額も異なります。万一のことは誰にでも起きる可能性があります。夫婦どちらか1人になることも踏まえて老後の資金計画を早めに立てることが大切です。
出典
日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
総務省 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)
執筆者:根本由佳
FP2級、中小企業診断士