居候の友人が年金滞納による「差し押さえ」の通知を受け取っていましたが、私の家に差し押さえが来るのでしょうか?
配信日: 2024.05.30
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
基本的には、本人の自宅や私物が差し押さえの対象となる
国民年金の保険料は、滞納が続くと差し押さえされます。とはいえ「滞納すれば即座に差し押さえ」というわけではなく、実際には、滞納している期間が相当長期にわたるような場合でなければ、差し押さえの通知が来ません。
具体的には、次のような段階を踏んで、ようやく差し押さえの通知が届きます。
1.国民年金保険料を滞納する
2.電話や文書で納付勧奨が行われる
3.納付勧奨が複数回行われても、未納状態が続いた場合、最終催告状が届く
4.督促状が届く
5.差押予告通知書が届く
差押予告通知書は、その名のとおり「いつ財産を差し押さえられてもおかしくはない」状態を示すものです。とはいえ基本的に差し押さえは、本人に加えその親など連帯納付義務者の財産が対象となり、友人など他者の財産は差し押さえの対象外となります。
ただし、差押予告通知書は、基本的に住所地へ届きます。そのため、居候の友人の住所が、住まわせている自身の自宅に変更されている場合、自宅に通知が届き、自宅内にある友人の財産が差し押さえられる可能性があります。
例えば、居候の友人が車を有しており、友人を住まわせている自身の自宅敷地内にその車が停められていれば、それが差し押さえの対象となることはあります。
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場合によっては、居候の年金保険料滞納が原因で、自分の財産が差し押さえられる可能性がある
基本的に年金保険料の差し押さえは、支払いを滞納している本人と、その親など連帯納付義務者の財産にしかなされません。しかし、その友人が自身の世帯に入っており、かつ自身が世帯主である場合は、自身が「連帯納付義務者」として財産を差し押さえられる可能性もあります。
年金保険料の支払いにおける連帯納付義務者には、世帯主が含まれているからです。仮に友人に財産がない場合や、差し押さえをしてもなお滞納している額に満たない場合は、世帯主たる自身の財産が差し押さえられることもあり得るわけです。
1円でも滞納したら差し押さえの通知が来るの?
ここで疑問に思うのが「1円でも年金保険料の滞納があれば差押予告通知書が来るのか」という点です。理論上は、1円でも滞納していれば、先に解説したとおりの順を追って、差し押さえの通知が来る可能性があります。
しかし差押予告通知書に関しては、「年金保険料を何円滞納したら通知が来る」といったことや「何年何ヶ月滞納したら通知が来るか」などの具体的な決まりは明かされていません。
そして、差押予告通知書が来てから実際に差し押さえされるまでに何日かかるか、などは分かりません。そのため、1円だろうと滞納しない姿勢が大切ですが、万が一にも通知が来た場合は、速やかに支払いをするべきです。
まとめ
居候とはいえ一緒に住んでいる友人が、1円でも年金の保険料を滞納し、差押予告通知書を受け取っているのであれば、友人を住まわせている自身の財産も差し押さえられる可能性が全くないわけではありません。
年金保険料は、滞納が続くと本当に財産を差し押さえされる可能性があるものです。もし、居候の友人が年金保険料を滞納していれば、他人だからと放っておくのではなく、できる範囲で、年金事務所へ相談したり速やかに支払いをするよう促したりするべきでしょう。
出典
日本年金機構 日本年金機構の取り組み(国民年金保険料の強制徴収)
執筆者:柘植輝
行政書士