会社員の夫とパート勤務の妻が定年後に「月30万円」の年金を受け取るには年収いくら必要になる?
配信日: 2024.06.16 更新日: 2024.06.17
今回は、目標の年金額から必要な年収の求め方や、年金を増やせる制度などについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
年金額から必要な年収を求める方法
将来受け取りたい年金額から必要な年収を求めるには、まず老齢基礎年金額を計算する必要があります。
老齢基礎年金額は、国民年金保険料を納付した月数によって変わり、40年間欠かさず納めていれば満額を受給可能です。日本年金機構によると、令和6年度だと、欠かさず納めた場合で月額6万8000円、年間81万6000円の老齢基礎年金を受け取れます。
受給できる老齢基礎年金を求めたあとは、全体の年金額から老齢基礎年金額を引き、必要な老齢厚生年金額を求めましょう。老齢厚生年金額がいくらか分かれば、必要な年収も計算できます。
老齢厚生年金額から年収を求めるには?
老齢厚生年金額は、報酬比例部分を求めるとおおよその金額を求められます。報酬比例部分とは、年金額を計算する際の基礎となる数値です。
日本年金機構によると、厚生年金に加入した期間が平成15年4月以降だった場合の報酬比例部分は「平均標準報酬額×0.005481×加入月数」で計算できます。平均標準報酬額は、月収から定められる標準報酬月額と年間賞与から定められる標準賞与額の総額を加入期間で割って求める金額のため、月収に近い数値です。
つまり、報酬比例部分に老齢厚生年金額を当てはめて求めた平均標準報酬額の数値に12ヶ月をかけると、必要な年収が分かります。
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夫婦で年金を月に合計30万円受け取れる年収
今回は、以下の条件で計算をします。
●夫婦ともに国民年金は欠かさず支払っている
●妻が加入しているのは国民年金のみ
●老齢基礎年金は令和6年度の金額
●夫が厚生年金に加入した期間は平成15年4月以降
●報酬比例部分以外の加算は考慮しない
●厚生年金の加入期間は22~65歳の43年間
まず、条件の通りだと令和6年度の金額で老齢基礎年金を満額受け取れるため、老齢基礎年金額は夫婦で合計して月に13万6000円、年間163万2000円です。月に30万円の年金を受け取るためには、夫の老齢厚生年金額が月に16万4000円、年間196万8000円必要となります。
これを報酬比例部分の計算式に当てはめると「196万8000円=平均標準報酬額×0.005481×516ヶ月(43年)」です。式を基に計算すると、平均標準報酬額は約69万5850円、年収に換算すると厚生年金に加入中の平均年収が約835万200円あれば、年金を月に30万円受け取れます。
ただし、ほかに加算があるときや国民年金の免除制度を利用していた場合などは、金額が変動するのであくまで参考としてください。
なるべく多く受け取りたいなら繰下げ受給の利用も検討しておく
もし少しでも年金額を増やしたいときは、繰下げ受給の利用も考えておきましょう。繰下げ受給とは、年金を受け取るタイミングを遅らせた月数に応じて受け取る年金額を増やせる制度です。65歳から1ヶ月遅らせるごとに0.7%増えた金額を受け取れます。
パートの妻が厚生年金に加入しても年金を多く受け取れる
妻が勤務時間を増やせるなら、妻の収入を増やして厚生年金に入ってもらうことも年金を増やす手段のひとつです。パート勤務の妻が一定基準を超えれば、厚生年金に加入します。
厚生労働省によると、もしパート勤務の方が年収150万円で、厚生年金に10年加入すると月に6400円増額した年金を受給可能です。また、年収200万円で10年加入すると、月に8600円増額することになります。
夫婦で月に30万円の年金を受け取るためには年収およそ835万円が必要
年金は、国民年金や厚生年金の加入期間以外に、収入によっても受け取れる金額が変動します。
もし、妻の加入している公的年金が国民年金のみの夫婦で、合計して月額30万円の年金を受け取りたい場合は、今回の計算上だと夫の厚生年金加入期間の年収はおよそ835万円が必要です。しかし、人によっては収入を上げられない方もいるでしょう。
収入を上げる以外にも、年金額を上げる方法のひとつとして繰下げ受給があります。年金額をなるべく多くもらいたい場合は、繰下げ受給制度の利用や、妻に収入を増やしてもらうことも検討しておきましょう。
出典
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
日本年金機構 老齢年金の制度 年金の繰下げ受給
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト パート・アルバイトのみなさま 年金額・保険料シミュレーション
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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