更新日: 2024.06.22 その他年金
年収600万円の50代の男です。年金「月額10万円」はもらえるでしょうか?
では、老後に受け取る年金額はどうでしょうか。月額換算10万円程度はもらうことができるのでしょうか。年金額について、シミュレーションしてみました。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
厚生年金の年金額の決まり方
まずは公的年金のうち、厚生年金の年金額が決まる仕組みを解説していきます。
会社員が加入している厚生年金の年金額は、おおむね加入期間とその間の平均年収に応じて高くなります。厚生年金の年金額は大別すると、報酬比例部分と経過的加算と加給年金額に分けられるのですが、この中でも年金額の計算の基礎となるのが「報酬比例部分」です。
そして、報酬比例部分はおおむね加入期間とその間の平均年収に応じて決まります。
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年収600万円あれば、年金は1ヶ月当たり10万円もらえる?
では、「年収が600万円あれば、老後に年金を1ヶ月当たり10万円もらえるのか」という疑問について、あらためて考えていきましょう。
結論からいうと、その答えは「もらうことができる」といえます。参考までに、厚生労働省の公的年金シミュレーターにて年金額を算出してみましょう。条件は下記のようになります。
・1991年5月1日生まれ
・20歳から59歳まで会社員として就業し、生涯での平均年収は600万円とする
すると65歳から受け取る年金額は年間で207万円です。月額換算すると17万円少々です。ここから、年収600万円あれば10万円の年金を受け取ることは十分可能であることが分かります。
しかし、新卒から年収600万円で働ける会社など、皆無といってよいでしょう。そこで、やや極端ですが下記のように年収を推移させてみます。
20歳から40歳:年収450万円
41歳から50歳:年収550万円
51歳から59歳:年収600万円
すると、65歳から受け取る年金額は年間185万円です。月額換算ではおよそ15万円です。順調に年収が推移して、51歳から年収600万円となった場合でも、十分に月当たり10万円以上の年金を受け取ることができます。
自営業者やフリーランスは?
ここで注意が必要なのは、「自営業者やフリーランスといった国民年金加入者は、年金の支給額が別で計算される」という点です。先のように、収入によって支給される年金額が変化するのは、厚生年金の加入者です。
自営業者やフリーランスなど国民年金加入者は、加入期間と保険料の納付済月数によって、支給額が変わります。加入期間は最大40年間、納付済月数は最大480月です。
仮に40年間(480月)国民年金保険料を納めつづけた場合、日本年金機構によると、受け取れる国民年金額は満額で、月当たり6万8000円です(令和6年度ベース)。年収が400万円でも600万円でも、1000万円であっても、国民年金の支給額は同じ、月当たり6万8000円です。
もし、国民年金支給額を10万円台に増加させるのであれば「繰下げ受給」をすることになるでしょう。繰下げ受給は、年金の受取開始時期を66歳以降にズラすものです。繰下げ受給は1ヶ月単位で、最大75歳まで行え、1ヶ月繰り下げるごとに将来受け取れる年金額は0.7%増額されます。
仮に国民年金月額6万8000円を10年間繰り下げて、75歳から年金を受け取りはじめたとすると、年金月額はおよそ12万5000円となり、10万円を超える年金を受け取ることができます。
まとめ
年収600万円の50代男性は、会社員であれば、将来月当たり10万円の年金を得ることは難しくなさそうです。しかし、それまでの年収によっては、現在は年収600万円あっても、将来月額10万円の年金を得られない場合もあります。
自営業者やフリーランスなどの場合は、令和6年度の国民年金額を見る限りでは、年収がいくらだろうと繰下げ受給をしない限り、10万円以上の年金をもらうことは不可能です。
このように、将来の年金額は個別の事情によって異なります。もし、将来自分がいくら年金をもらえるか気になったときは、年収だけで考えるのではなく、加入している年金など、個別の事情も加味して考えるようにしてください。
出典
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
厚生労働省 公的年金シミュレーター
執筆者:柘植輝
行政書士