更新日: 2024.06.28 その他年金

ずっと専業主婦だったのに「夫の遺族年金」と「自分の年金」だけで生活できているという姉。いったい月いくら受け取っているの? 夫の年収が「700万円」だったケースで試算

ずっと専業主婦だったのに「夫の遺族年金」と「自分の年金」だけで生活できているという姉。いったい月いくら受け取っているの? 夫の年収が「700万円」だったケースで試算
配偶者を亡くした場合、条件を満たすと遺族年金が遺族に支給されます。遺族年金がどれくらい支給されるのかは普段あまり気にすることもなく、よく分からない人も多いでしょう。
 
本事例のように、ずっと専業主婦だった女性が、夫の遺族年金と本人の老齢年金だけで暮らせていると聞けば、驚く人もいるのではないでしょうか。
 
本記事では年収700万円の会社員の夫が亡くなり、残された専業主婦の妻がどれくらい年金を受け取れるのか、そして生活は支障なく送れるのかを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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遺族年金の種類

遺族年金には主に「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」「中高齢寡婦加算」があります。
 
ただ、「遺族基礎年金」を妻が受け取るには、18歳未満の子ども(障害等級の1級または2級の場合は20歳未満)がいることが条件です。また、「中高齢寡婦加算」は妻の年齢が65歳未満の場合しか受け取れません。
 
今回は条件を満たす子どもはおらず、妻は65歳以降で自身の年金を受け取っていると仮定してシミュレーションします。そのため受け取れる遺族年金は「遺族厚生年金」のみとなります。
 

夫の遺族厚生年金はいくら受け取れるのか

遺族厚生年金とは、厚生年金に加入中の人や、老齢厚生年金を受給中の人などが亡くなった際に、亡くなった人に生計を維持されていた遺族に支給される年金です。
 
今回の場合、遺族厚生年金の支給金額の年額は次の式で計算できます。

・平均標準報酬額×5.481/1000×厚生年金の加入月数×3/4

夫の年収が700万円であれば平均標準報酬額は59万円ですので、仮に年収700万円で厚生年金に35年間(420月)加入していたとすると、遺族厚生年金の支給金額は101万8644円です。なお、厚生年金の被保険者期間が300月未満の場合、加入月数は300月として計算されます。
 

妻の老齢年金はいくら受け取れるのか

夫を亡くした専業主婦の妻は、夫の遺族厚生年金のほかに、自身の老齢基礎年金も受給が可能です。老齢基礎年金の金額は、受給資格期間などの「要件を満たしているかどうか」で決まりますが、今回は老齢基礎年金を満額受給できるものとします。
 
2024年度の老齢基礎年金の満額は年間で81万6000円です。
 

妻の収入と生活費はいくらくらいか

ここまでのシミュレーションでは、妻は年間で「夫の遺族年金」として101万8644円、「自分の老齢年金」として81万6000円を受給しています。そのため、合計で183万4644円となり、月額では15万2887円です。
 
続いて生活費ですが、人それぞれですので一概にいくらかかるとは言えません。今回は平均値として、総務省の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」を参考にしていきます。
 
同調査によると、65歳以上の単身無職世帯の支出の平均は月額で15万7673円です。なお、この金額はあくまでも平均ですので、例えば住居費は持ち家と賃貸どちらの場合も含みます。そのため、賃貸に住んでいればもっと生活費が高い場合もあります。
 
今回の事例では、年金受給額よりもやや支出のほうが多いものの、だいたい同じくらいになりました。遺族年金と自身の老齢基礎年金を受け取っている姉が「大丈夫だ」と言っているのであれば、支出のほうが少ない、あるいは貯金などによって不足分をまかなっているのかもしれません。
 

まとめ

今回の事例では、姉が受け取っている年金総額と支出が同じくらいになりました。ただし遺族厚生年金の比例報酬部分は亡くなった夫の現役時代の収入に左右されますし、国民年金に未加入の時期があれば姉本人の年金は満額受け取れず、年金受給総額は下がります。
 
逆に、年金収入が低くても十分な貯蓄があるため、余裕のある生活を送れているというケースもあるでしょう。
 
本事例の試算はあくまで一例です。気になる人は、本記事を参考に実際にシミュレーションをしてみるのも良いかもしれません。
 

出典

日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
総務省統計局 家計調査報告〔 家計収支編〕 2023年(令和5年)平均結果の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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