更新日: 2024.07.06 厚生年金
給料がとても低いので年金保険料の「天引き」を止めたい…! 大学生のときのように「猶予」を受けることはできないのでしょうか?
本記事では、厚生年金保険料の天引きを止めることはできるのかについて解説します。また、国民年金保険料の学生納付特例制度や追納についても触れているため、年金保険料の負担が大きいと感じている人は参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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厚生年金保険料額はどれくらいか
会社員として給与を受け取っている人の場合、健康保険および厚生年金保険の保険料は日本年金機構が徴収しています。事業主が給与や賞与から保険料を差し引き、事業主が負担する分と合わせて納付しています。
厚生年金保険料額は、受け取る給与額によって変わります。具体的にどれくらいの厚生年金保険料が徴収されているのかというと、標準報酬月額の18.3%(厚生年金基金加入員は13.3~15.9%)です。しかし18.3%すべてを被保険者が負担するのではありません。厚生年金保険料は事業主と折半するため、実質負担額は2分の1となります。
標準報酬月額とは、給与を一定幅に区分したもので32等級に分かれています。1等級は8万8000円、32等級は65万円です。等級ごとの保険料額は、以下の計算で求められます。
【標準報酬月額×保険料率÷2】
標準報酬月額が月額20万円の14等級で、厚生年金基金未加入だった場合の実質負担額を計算してみましょう。
20万円×18.3%2=1万8300円
標準報酬月額が20万円の場合、給与から天引きされる厚生年金保険料は1万8300円です。
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厚生年金保険料の天引きは止められる?
厚生年金は、一定の条件で会社に勤務し給与を受け取っている70歳未満の人(第2号被保険者)は必ず納めるものです。そのため、個人の都合で天引きを止めることはできません。
厚生年金を納める条件となる人は、週および月の所定労働時間が一般社員の4分の3以上ある人です。月の所定労働時間が4分の3未満であっても、以下の人は厚生年金保険料を納めなくてはなりません。
・週の所定労働時間が20時間以上
・賃金が月額8万8000円以上
・学生ではない
無職、自営業といった第1号被保険者も、20歳以上であれば国民年金保険料は必ず納付します。なお、第3号被保険者(第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者)は、個別に厚生年金保険料を納付する必要はありません。
国民年金の学生納付特例制度とは
国民年金保険料を納付する学生は、所得基準等の条件を満たしていれば学生納付特例制度で猶予を受けられます。学生時代に学生納付特例制度で猶予を受けていた場合は、追納制度を利用しましょう。追納とは、猶予を受けていた期間の保険料を納付できる制度で、将来受け取れる年金額を増やせます。
追納は、追納が承認された月の前10年以内の期間であれば可能です。社会人になっても、給与が少ないうちは無理して追納しなくてもよいでしょう。
国民年金保険料の猶予を受けられるのは、学生時代だけではありません。社会人になっても、国民年金の被保険者である場合は免除制度・納付猶予制度を利用できます。収入が少ない・失業してしまったなどの際に申請することで、負担を減らせるでしょう。
免除制度・納付猶予制度を受けた期間中は年金受給資格期間に算入されるほか、障害年金や遺族年金を受け取れます。しかし、納付猶予制度の場合は追納しないと年金受給額を増やせない点に注意しましょう。
年金保険料の天引きを止めることはできないので注意しよう
厚生年金保険料は、一定の条件を満たした会社に勤めて給与を受け取っている人は、全員が納めなくてはなりません。天引きを止めることはできず、厚生年金保険料の免除・猶予制度もありません。いくら給与が少なくても必ず差し引かれます。
国民年金保険料であれば、学生納付特例・免除・納付猶予の各種制度が利用できます。大学生時代に学生納付特例制度を受けていた場合は、10年以内に追納して将来受け取れる年金額を増やすとよいでしょう。
出典
日本年金機構 保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)
日本年金機構 厚生年金保険料等の納付
日本年金機構 会社に勤めたときは、必ず厚生年金保険に加入するのですか。
日本年金機構 日本年金機構の取り組み(国民年金保険料の強制徴収)
日本年金機構 た行 第3号被保険者
日本年金機構 た行 第1号被保険者
日本年金機構 た行 第2号被保険者
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー