更新日: 2024.07.17 その他年金
夫の遺族年金は「月5万円」。ただし妻が40歳以上だと、さらに「5万円」追加される?“中高齢寡婦加算”について解説
本記事では遺族厚生年金で月5万円を受け取るために必要な夫の収入や、妻が40歳以上など一定条件を満たすことで加算される「中高齢寡婦加算」を紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
そもそも「遺族年金」とは
遺族年金制度は、国民年金や厚生年金に加入している被保険者が死亡した場合、死亡した人に生計を維持されていた家族に支給される年金のことです。
年金といえば原則65歳から受け取れる「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」が思い浮かびますが、遺族年金は条件を満たせば65歳前でも、いずれかまたは両方の年金を受け取ることができます。
遺族年金は大きく分けて、受給要件を満たす国民年金の被保険者であった人が亡くなった人によって生計を維持されていた「子を持つ配偶者」または「子」に支給される遺族基礎年金と、厚生年金保険の被保険者であった人が亡くなった場合、その人により生計を維持されていた遺族が受け取れる「遺族厚生年金」があります。
配偶者が遺族基礎年金を受け取るには子どもがいることが前提ですが、遺族厚生年金は子どもの有無に関係なく受け取ることが可能です。
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遺族年金で月5万円を受け取れる夫の年収の一例は約480万円
要件を満たす会社員の夫が亡くなった場合、遺された妻は遺族厚生年金を受け取ることができます。
遺族厚生年金で支給される年金額は、死亡した人の「老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4」です。
報酬比例部分は以下の計算式に当てはめて計算します。
平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入期間
平均標準報酬月額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入合計月数
なお、厚生年金の被保険者期間が「300月(25年)未満」の場合は、その部分を300月とみなして計算します。
例えば死亡した夫が会社員として働いた期間が平成5年4月から平成15年3月までの10年間と平成15年4月から18年間の計28年だった場合、標準報酬月額が40万円と仮定すると、遺族厚生年金の計算式は以下の通りです。
【A】40万円×7.125/1000×120ヶ月=34万2000円
【B】40万円×5.481/1000×216ヶ月=47万3558円
A+B=81万5558円(報酬比例部分)
81万5558円×3/4=61万1668円
前述の条件で計算すると、遺族である妻は月に約5万円の遺族厚生年金を受け取れる計算です。なお、この例でいえば、夫の年収は40万円×12ヶ月で480万円程度となります。
ただし、年金の加入期間によっては月40万円の月収でも月5万円に達しない可能性もあります。
特定の条件を満たした妻が受け取れる「中高齢寡婦加算」とは
遺族厚生年金を受け取る妻が一定条件を満たすことで受け取れる「中高齢寡婦加算」という制度もあります。
中高齢寡婦加算は特定条件を満たす遺族である妻が40歳から65歳までの間に受け取れる加算金額のことです。
以下の条件に当てはまる場合、中高齢寡婦加算として年額61万2000円(2024年6月現在)が年金額に加算されます。
・夫が亡くなったときに40歳以上65歳未満である
・生計を同じくする子がいない
前章では「61万1668円」の遺族厚生年金を受け取れる計算でしたが、そこに61万2000円の中高齢寡婦加算を加えると「122万3668円」になります。毎月受け取れる金額は10万1972円となり、約2倍の遺族厚生年金を受け取れる計算です。
中高齢寡婦加算を受け取れないケースもある
中高齢寡婦加算は、夫が亡くなった子どものいない妻全員が受給できるわけではありません。
例えば中高齢寡婦加算は40歳~65歳までが対象であり、40歳未満の妻は受け取ることができません。
また、老齢厚生年金の受給権者、または受給資格期間を満たした夫が死亡した場合は、夫の厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あることが必要です。加入期間が19年未満の夫が亡くなった場合も中高齢寡婦加算は適用されません。
まとめ
中高齢寡婦加算が適用されると月に5万円ほど遺族厚生年金の給付額が増えるので、夫と死別した妻には心強い制度です。ただし、年齢要件や死亡した夫が厚生年金に何年加入していたかで受給資格を満たしているかが決まります。夫に万が一のことがあった場合の家計をシミュレーションするなら、中高齢寡婦加算の条件を満たしているかどうかも確認しておきましょう。
出典
日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー