更新日: 2024.07.28 国民年金
派遣社員です。毎月の年金保険料が高すぎて払えません……。何か対応策はあるのでしょうか?
今回は、国民年金保険料について説明するとともに、経済的に保険料を納付することが困難な場合に利用できる制度について解説します。
執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士
元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/
国民年金保険料の納付義務と保険料額
日本国内に居住する20歳以上60歳未満の方は、国民年金の被保険者となり、厚生年金保険に加入していない方は、全て国民年金の第1号被保険者または第3号被保険者(厚生年金加入者の被扶養配偶者)となります。このうち、第1号被保険者は、毎月定められた保険料を納めることが義務付けられています(※1)。
令和6年度の国民年金保険料は、月額1万6980円となっており、納付対象月の翌月末日までに納付しなければなりません。国民年金保険料が納付期限までに納付されない場合、障害基礎年金や遺族基礎年金を受給できない場合がありますので(※1)、忘れずに納付するようにしましょう。
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保険料の免除・納付猶予制度
国民年金保険料の納付が経済的に困難な場合は、以下の制度を利用することができます。
1. 保険料の免除制度
被保険者本人、世帯主および配偶者の前年所得が一定額以下の場合や失業した場合など、保険料を納付することが経済的に困難な場合は、申請して承認されると、所得に応じて保険料のうち全額・4分の3・半額・4分の1が免除されます(※2)。
2. 保険料の納付猶予制度
20歳から50歳未満の方で、本人および配偶者の前年所得が一定額以下の場合に、申請して承認されると、保険料の納付が猶予されます(※2)。
3. 学生納付特例制度
大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、修業年限が1年以上の専修学校および各種学校などに在学する学生について、本人の前年の所得が一定額以下の場合、申請することにより在学中の保険料の納付が猶予されます。この際、親などの収入を問われることはありません(※3)。
保険料の免除・納付猶予の承認基準
国民年金保険料の免除、納付猶予または学生納付特例が認められる所得の基準は、前年所得(1月から6月までに申請する場合は前々年所得)が図表1の計算式で計算した金額の範囲内とされています(※2, 3)。
図表1
図表1の「扶養親族等控除額」「社会保険料控除額等」は、年末調整・確定申告で申告した金額になりますので、源泉徴収票・確定申告書の控えなどで確認することができます。
保険料の免除・納付猶予のメリット
国民年金保険料の免除、納付猶予または学生の納付特例を受けた期間は、障害基礎年金、遺族基礎年金および老齢基礎年金額の受給資格期間に算入されます(※2, 3)。
また、老齢基礎年金の額は、保険料を納付した月数によって決まりますが、保険料の免除を受けた期間は、免除された割合に応じて、免除された月数の2分の1~8分の7が老齢基礎年金の年金額に反映されます。しかしながら、納付猶予や学生の納付特例を受けた期間は、保険料を追納しないかぎり、老齢基礎年金額には反映されません。
図表2
まとめ
厚生年金に加入していない20歳以上60歳未満の派遣社員やパートタイマーは、第3号被保険者でないかぎり、国民年金保険料を納付する義務があります。経済的に保険料を納付することが困難な場合は、保険料の免除や納付が猶予される制度がありますので、申請することをお勧めします。
これらの手続きを取ることなく保険料の未納を続けると、障害基礎年金や遺族基礎年金を受給できない場合があるほか、老齢基礎年金の年金額が少なくなったり、受給資格を失ったりすることにもなりかねませんので、必ず申請するようにしましょう。
出典
(※1)日本年金機構 国民年金保険料
(※2)日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
(※3)日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士