更新日: 2024.07.30 その他年金
「年金10万円を繰下げ受給で増やす」と言っていた母が死亡。この場合、娘の私は“母の年金”を受け取れませんか? 遅らせるだけ「損」だったのでしょうか…?
そこで本記事では、繰下げ待機期間中に亡くなってしまった場合に受け取るはずだった年金はどうなってしまうのか解説していき、受け取れる場合はいくら受け取れるのかも紹介していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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繰下げ受給制度で最大84%も年金額を増やせる
繰下げ受給制度は、本来65歳から受給が開始される年金を66歳以降に受け取ることで年金額を増額させられる制度です。受け取りを遅らせる期間を延ばすことで年金の増額率を多くすることができます。
例えば、65歳から1年間繰り下げて受給するだけで8.4%年金額が増額します。月10万円の年金の場合は月額8400円の増額です。年間では10万800円年金額を増やすことができます。
繰り下げる期間は最長で75歳0ヶ月までです。この場合の増額率は84%になります。月10万円の年金の場合は月額8万4000円も年金を増やすことが可能です。
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年金受給前に亡くなった場合
手軽に年金を増やすことができる繰下げ受給制度ですが、注意点もあります。それは年金を受給する前に亡くなってしまうと、本来受け取るはずだった年金を受け取ることができないということです。
年金の繰下げ待機中(年金受給を繰下げている期間)に亡くなってしまうと、受け取るはずだった本人は年金を受け取ることができません。また、遺族も繰り下げていた年金を受け取ることができないので注意してください。
ただし、遺族は本来受け取るはずだった年金額を「未支給年金」として受け取ることが可能です。年金額は増額したものではなく、65歳時点で受け取れる年金額で計算され、一括で受け取ることになります。
未支給年金には注意点もある
未支給年金として受け取れるのは65歳時点で受け取れる年金額で、繰下げ待機期間中の年金となります。事例のように、月額10万円の年金を受け取れる人が繰下げ待機中に70歳で亡くなった場合は、65歳から70歳までの5年間分の600万円です。
また、未支給年金は遺族が請求することになりますが、受け取りには時効があるので注意しましょう。具体的には請求した時点から5年が経過すると時効によって受け取れなくなってしまいます。
未支給年金を受け取れる遺族は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、それ以外の3親等内の親族です。
年金受給者が亡くなった場合の手続きを覚えておきましょう
繰下げ受給制度は手軽に年金額を増やすことができ、増額率も高いため年金を増やしたい人におすすめの制度です。増額した年金額は一生涯受け取れるので長生きすればするほどお得になります。
しかし、年金を受け取る前に亡くなってしまうと受給者本人は受け取ることができません。代わりに遺族が未支給年金として請求することになります。この場合、遺族にも注意点があります。年金の受け取りには「消滅時効」があるからです。
5年経過すると消滅してしまいます。繰下げ受給の場合は65歳から起算されるので、遺族は早めに手続きをしなければ受け取れるはずの年金を受け取れなくなります。
事例のように、年金額が月10万円の場合でも繰下げ待機期間が長いと年金額は高額になります。未支給年金はほかの資産と比べて気づきにくいことが多いですが、受給権者死亡届を提出する際に確認しておきましょう。
出典
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー