『ただただ減っていく年金・・少しでも増やす方法はありますか?』
配信日: 2018.12.19 更新日: 2019.01.10
年金制度が今後どうなっていくかはもちろん不確定ですが、受給できる金額は減っていく可能性は大いにあると思います。
そんな中で、ただただ受給金額が減っていくのを見ているのではなく、少しでも増やすための3つの方法をお伝えいたします。
Text:塚越菜々子(つかごし ななこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
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納める期間を長くする
老後に受け取る年金は大きくは「国民年金」と「厚生年金」に分かれています。
国民年金は、日本に住んでいたら全員が加入を義務付けられている基本的な年金のため「基礎年金」とも呼ばれます。こちらに関しては、20歳~60歳までの40年間を収めると満額を受け取ることができます。
満額の金額は毎年物価などによって違いますが、おおよそ年間に80万円程度です。20歳~60歳の間に未納などがない限りは、満額以上は増えないのが国民年金(基礎年金)です。
それに対して厚生年金は、20歳~60歳までの間と決まっているわけではありません。
60歳以降も厚生年金に加入して働くケースも増えていますし、例えばサラリーマンの扶養に入っている妻などは、国民年金に加入している(3号)だけとなっていますので、厚生年金に加入できる働き方をすることで、厚生年金に加入している期間を長くすることができます。
受け取る厚生年金の金額は給与の金額にもよりますが、国民年金だけを受給するよりは増やすことができます。
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年収を増やして掛け金を増やす
厚生年金は「報酬比例」と呼ばれ、給与が増えると掛け金が増えます。その分受け取る年金額も増える計算となっています。上限は標準報酬月額(給与ランク)62万円という基準がありますが、そこに到達するまでは年収を上げることで掛け金を増やし、受給できる年金額を増やすことができます。
受け取る年金を正確に試算するのは難しいですが、簡易的な方法として「年収×0.55%×年数」という計算式があります。
例えば、20歳男性が60歳まで平均年収400万円で厚生年金をかけた場合は、約88万円の厚生年金を受給することができる計算です。
これに対して平均年収が600万円で推移した場合、厚生年金は約132万円です。この金額とは別に国民年金(基礎年金)から約80万円をうけとれることができます。
60歳までの年令はコントロール不能ですし、0.55%は定められた金額です。自分でコントロールできるのは、年収のみですね。
年収が上がって社会保険料が上がって、手取りがさほど増えなかったという嘆きも耳にすることがありますが、将来的に見たら大きな影響があることもあるのです。
受け取りを遅らせて増額する
年金の受給は65歳からとなっている方がほとんどになってきました(年齢によってはもう少し早い方もいます)が、公的年金には「繰り下げ」という制度があります。受け取るタイミングを遅らせる手続きです。
一か月遅らせるごとに、受給できる年金額が0.7%増額されるという決まりになっています。仮に、65歳から受け取らずに70歳までの5年間遅らせることで、受け取れる年金額は142パーセントに増えます。
65歳からもらえる厚生年金と基礎年金の合計が200万円だとしたら、5年受給開始を遅らせることで284万円に増やすことができるのです。
加給年金を含む、そのほかの状況によっては必ずしも繰り下げて増額することがいいとは限りませんが、繰り下げるとその増額はずっと続きますので、60代に就労による収入がある場合は、繰り下げての増額は十分に検討の余地があるはずです。
年金制度は複雑で、いろいろなうわさが飛び交うこともあり、若い世代にとっては「不信感」が付きまとっているものだと感じています。
しかし、年金というのはどこかの誰かから「もらう」ものではありません。自分が払った額に応じて「受け取る」ものです。だからこそ、自分で年金を「作って」行かなければ受け取ることはできないのです。
どうせもらえないと諦めるのではなく、まずは老後の年金がどのように計算されて自分のもとに来るのかを知っていただきたいと思います。そして、それでも不足する部分を今から作っていくことができれば、老後のイメージも少し明るいものになるのではないでしょうか。
Text:塚越 菜々子(つかごし ななこ)
CFP(R)認定者