30代の夫が独立を考えていますが、妻としては将来の「年金受給額」が心配です。ずっと会社員でいる場合と比べてどれくらい差が出ますか?
配信日: 2024.08.14
場合によっては繰下げ受給などの利用も必要です。今回は、会社員から独立した場合の年金や独立しなかったときとの年金額の差などについてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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会社員から独立してフリーランスになると厚生年金はどうなる?
会社員とフリーランスの大きな違いは、厚生年金の有無です。会社員は基本的に厚生年金保険に加入するため、老後は老齢基礎年金に加えて老齢厚生年金も受け取れます。
一方、フリーランスが加入する公的年金は国民年金のみです。老後に受け取れるのも老齢基礎年金だけのため、会社員の方より受け取れる年金額は減少します。これは、厚生年金が会社単位で適用される年金のためです。途中まで会社員だった場合は、会社員として働いていた期間分の老齢厚生年金のみ受け取れます。
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夫が独立したときと独立しなかったときの年金額
今回は以下の条件で独立した場合としなかった場合の年金額を比較しましょう。
●会社に入社したのは22歳
●会社員時代の収入は国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」内に記載されている平均給与の458万円
●賞与は考慮しない
●国民年金は欠かさず納付している
●厚生年金に加入した年は平成15年4月以降
●フリーランスになるのは32歳
●独立せず会社員を続ける場合は65歳まで
●老齢基礎年金額は令和6年度の月に6万8000円、年間81万6000円
●老齢厚生年金額は報酬比例部分と同額
日本年金機構によれば、報酬比例部分は「平均標準報酬額×0.005481×厚生年金の加入月数」で求められます。今回のケースだと賞与は考慮しないため標準報酬月額と平均標準報酬額は同額となり、日本年金機構の厚生年金保険料額表より38万円です。
独立したとき
32歳で独立をすると、老齢厚生年金は22~32歳の10年分を受け取れます。計算式に当てはめると「38万円×0.005481×120ヶ月(10年)」となり、老齢厚生年金額は約24万9934円です。
老齢基礎年金額が81万6000円なので、合計約106万5934円の年金を受け取れます。月額だと約8万8828円です。
独立しなかったとき
独立をしなかった場合、22~65歳の43年間厚生年金に加入します。そのため、報酬比例部分は「38万円×0.005481×516ヶ月(43年)」となり、受け取れる老齢厚生年金額は約107万4714円です。
老齢基礎年金額と合計すると、年間約189万714円を受け取れます。月額で約15万7560円です。32歳で独立した場合と比べると、年間約82万4780円、月額約6万8732円の差が生まれます。
結果からも分かるように、会社員を続けるのと独立するのでは年金額に大きな差が生まれるため、独立したい場合は老後の年金額に問題ないかや、私的年金制度を利用するなど老後の資金作りなどを考えておく必要があります。
独立しても将来の年金受給額を増やす方法
独立してフリーランスになると厚生年金には加入できませんが、老後の年金対策として国民年金基金を利用する方法があります。
国民年金基金制度は、会社員の方が老齢厚生年金や企業年金により老後の年金を確保できる一方で、個人事業主は老齢基礎年金のみという差の解消を目的として作られた公的年金制度です。国民年金基金を利用すると、自分が設定した掛け金に応じて老後に年金を受け取れます。
また、年金額を増加する手段として繰下げ受給も有効です。繰下げ受給では、年金を受け取り開始できる年齢の65歳から繰り下げた期間に応じて、増額した年金を受け取れます。日本年金機構によれば、増額率は1ヶ月遅らせるごとに0.7%です。もし75歳まで繰り下げると最大84%まで増額します。
独立すると老齢厚生年金は減額する
会社員を辞めて独立すると、厚生年金に加入しなくなるため老後に受け取る老齢厚生年金額が減少します。独立した場合としなかった場合だと、人によっては年間80万円以上の年金額の差が生まれるので、独立する前に老後の資金に問題がないか確認が必要です。
独立したうえで少しでも老後の年金を増やしたい方は、国民年金基金や繰下げ受給の利用も検討しておきましょう。
出典
国税庁 令和4年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告- II 1年を通じて勤務した給与所得者 2平均給与(14ページ)
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
日本年金機構 年金用語集 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和6年度版)
日本年金機構 老齢年金の制度 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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