将来もらえる年金が増やせる「年金の繰り下げ」って?向いている人と注意点
配信日: 2018.12.26 更新日: 2019.01.10
今日はその方法をお伝えします。
Text:竹内美土璃(たけうち みどり)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DCプランナー2級、企業年金基金管理士、さくら総合法律事務所・FP部門、確定拠出年金相談ねっと認定FP。
FPでありながら、ある時は夫婦問題カウンセラー、ある時は相続アドバイザーとなり、「お金と気持ちを一気に解決」することを得意とする。
法律事務所で13年間勤務して得た知識と、5年間のファイナンシャルプランナーとしての実績で、「お客様を幸せで豊かな未来へ導く案内人」として定評が高い。
1972年生まれ。愛知県豊田市出身。現在は、名古屋市在住。
年金が増える方法とは?
それは、「年金の繰り下げをする!」ことです。年金を繰り下げすることにより、将来もらえる年金を増やしていくことができます。
その方法は、年金の受給開始年齢を自分で遅らせること。つまり、「通常、年金は65歳から受け取ることになりますが、65歳を超えて年金を受け取ることにする」のです。そうすれば、1カ月遅くすることにより、毎月0.7%、一生涯年金が増えていくという仕組みです。
具体的な年齢で例えると、年金受給額を下記の年齢まで引き延ばした場合以下の通りになります。
66歳まで 0.7%×12ヶ月=8.4%
67歳まで 0.7%×12ヶ月×2年=16.8%
68歳まで 0.7%×12ヶ月×3年=25.2%
69歳まで 0.7%×12ヶ月×4年=33.6%
70歳まで 0.7%×12ヶ月×5年=42%
つまり、65歳からもらうのに比べて、70歳から年金を受け取ることすると、1.42倍年金が増えることになります。では、具体的に数字で見ていきましょう。
(例)
65歳時点で老齢基礎年金、老齢厚生年金を含めて16万円もらえる人の場合。
70歳まで引き延ばしたら、
16万円×1.42=227.200円
つまり、毎月67,200円も増えていることになります。国民年金と同じくらいの年金を増やすことができるのです。
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どんな人が向いているの?
お仕事を、お持ちの方に向いています。
例えば、自営業や再雇用制度で70歳までお仕事を続けることができる方。70歳までは、現在のお仕事の収入がありますので、生活には困りません。お給料がもらえるまでは繰り下げした方がお得です。
ただ、そうは言っても68歳までしか働けないという方でも、68歳までは働いてお給料をもらい、その後年金生活を送ることも可能です。その場合は、65歳でもらうはずの年金額に125.2をかけた金額を受け取ることができます。
注意点はあるの?
注意点は3点あります。
1.70歳まで繰り下げした場合、82歳まで長生きしないと繰り下げしない方が得
2.年金にも税金がかかるので、手取りが多少、少なくなる
3.加給年金がもらえなくなる場合がある
1の回答:人生100年時代と言われている昨今ですが、寿命は誰にもわかりません。ご自身で、判断される必要があります。
2の回答:年金にも、税金がかかります。そのため、手取り額としては、少し減ってしまうことになります。しかし、平均年齢まで長生きすることを考えた場合、繰り下げをした方が得になります。
3の回答:加給年金とは家族手当みたいなものです。例えば年下の奥さんがいる夫婦で、奥さんの厚生年金加入期間が20年以下の場合(逆の場合もあります)、ご主人が65歳になった時点時から奥様が自分の老齢年金をもらい始めるまでの間、ご主人の老齢年金にプラスしてもらえる年金のことをいいます。
逆に、今度は奥様が65歳になった時に、ご主人についていた加給年金がなくなり、その代わりに奥様の年金に振替加算という年金がつきます。この場合の注意事項としては、奥様も老齢基礎年金を繰り下げしていると、振替加算はもらえないことです。
しかし、これには対策があります。加給年金と老齢厚生年金はセットなので、老齢基礎年金部分だけを繰り下げし、老齢厚生年金は65歳からもらう手続きをすれば、加給年金も同時に受け取ることが可能です。少しの工夫ですが、加給年金は奥様が65歳になるまでもらえるので、考えながら検討されることをお勧めします。
まとめ
いかがでしたか?
年金は自分のコントロールで増やすことはできます。コントロールすることができるのですが、色々と悩ましい点も出てくることは確かです。
そんな時には、ご自身の60歳以降の働き方をよく考えてみてください。まずは、どう生きていきたい(働いていきたい)か考えることを優先しましょう。その上で、年金を増やすことを考えるのがベストな方法と考えます。
Text:竹内 美土璃(たけうち みどり)
CFP(R)認定者