50代の会社員、年金は将来「20万円」程度です。もし妻と離婚した場合、半分の「10万円」になるのでしょうか? そうなると生活できないのですが…

配信日: 2024.08.22

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50代の会社員、年金は将来「20万円」程度です。もし妻と離婚した場合、半分の「10万円」になるのでしょうか? そうなると生活できないのですが…
熟年離婚が話題になって久しいですが、実際に離婚した場合、財産や年金がどのように分割されるかをご存じでしょうか?
 
本記事では離婚時の年金分割について、専業主婦の妻と離婚すると、夫の年金20万円(国民年金7万円、厚生年金13万円)は半分になるのか、また共働き夫婦の場合はどうなるのかなど、離婚したときの年金分割について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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離婚時の年金分割制度について

老後の厚生年金額は標準報酬を基礎として算出されます。標準報酬とは厚生年金保険料の算定の基礎となる標準報酬月額と標準賞与額のことを指します。離婚時の年金分割とは、婚姻期間中の標準報酬が多いほうから少ないほうに一部を分割することです。
 

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専業主婦や扶養内パートの妻と離婚した場合は年金が半額になる?

厚生年金に加入している会社員や公務員などの国民年金第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の妻(年収130万円未満かつ配偶者の年収の2分の1未満)は国民年金3号被保険者に該当します。
 
第3号被保険者である妻と離婚した場合、妻から請求があれば、婚姻期間中(2008年4月1日以後に限る)の第3号被保険者期間における標準報酬月額と標準賞与額を2分の1ずつ分割することになります。これを「3号分割制度」と言います。
 
例えば婚姻期間中の標準報酬月額が夫30万円、妻0円の場合、離婚時年金分割により婚姻期間中の標準報酬月額は夫15万円、妻15万円に変わります。
 
このように婚姻期間中の標準報酬が離婚時年金分割制度により変更され、変更された標準報酬によって将来の年金額も変更となります。
 

共働き夫婦が離婚した場合の年金分割はどうなる?

一方で共働き夫婦(ともに厚生年金被保険者)が離婚等をした場合、当事者の一方または双方からの請求により、婚姻期間中の標準報酬月額と標準賞与額を当事者間で分割することができる制度を「合意分割制度」といいます。
 
婚姻期間中の標準報酬月額が夫30万円、妻が20万円だった場合、2分の1ずつ分割することに合意すると、合意分割によって標準報酬月額が夫25万円、妻25万円に変更されます。
 
3号分割制度とは異なり、合意分割制度では当事者間の合意または裁判手続きにより按分割合を決めることができます。
 
また婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれるときは、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされ、3号期間中は3号分割による標準報酬の分割に加え、合意分割による標準報酬の分割も行われます。
 

2年以内なら離婚後でも分割請求が可能

分割請求の期限は、原則として、次の事由に該当した日の翌日から起算して2年以内です。


・離婚をしたとき
・婚姻の取り消しをしたとき
・事実婚関係にある方が国民年金第3号被保険者資格を喪失し、事実婚関係が解消したと認められるとき

離婚により分割される年金は厚生年金のみ

離婚時に年金が分割されるのは厚生年金のみで、国民年金は関係ありません。
 
そのため将来の年金が20万円(国民年金7万円、厚生年金13万円)で3号分割が適用される場合、厚生年金の13万円が2分の1の6万5000円となり、年金額は国民年金と合わせて13万5000円となります。
 
また分割されるのは婚姻期間中のみですので、結婚前や離婚後の厚生年金加入期間は対象外となります。
 

まとめ

離婚時の年金分割は配偶者が国民年金の3号被保険者かどうかで制度が変わります。
 
離婚直後に請求しなくても2年以内であれば、分割請求は可能です。そして離婚時の年金分割は厚生年金のみ対象であり、国民年金は分割されませんし、分割対象は将来の年金額ではなく、婚姻期間中の標準報酬です。
 
「離婚すれば夫の年金の半分は妻のものになる」は間違った考え方なので注意してください。
 

出典

日本年金機構 離婚時の年金分割
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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