現在59歳の会社員です。万一50代で死亡した場合、受け取るはずだった「年金」はどうなりますか? 遺族は受け取れるのでしょうか?
配信日: 2024.10.20
そこで本記事では、50代で亡くなってしまった場合に年金がどうなってしまうのか、遺族が受け取れるのかについて解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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50代で亡くなった場合は遺族が年金を受け取れることも
公的年金は被保険者が亡くなってしまうと、被保険者自身は受け取ることができません。しかし、被保険者の遺族は「遺族年金」として受け取れる可能性があります。
遺族年金は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があり、それぞれ遺族が受け取るためには要件を満たす必要があります。
遺族基礎年金
まず、遺族基礎年金は国民年金の被保険者だった人が年金を受け取る要件を満たしている場合に、「子どものいる配偶者」と「子ども」が受給できる遺族年金です。
遺族基礎年金の要件となっている「子ども」とは、18歳になった年度の3月31日までの子どもを指します。また、それ以外にも20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子どもも対象です。
子どもがいる配偶者が遺族基礎年金を受給している場合は、その子どもは遺族基礎年金を受給できません。
遺族基礎年金の受給額は、子どものいる配偶者の場合(昭和31年4月2日以後生まれ)だと「年81万6000円と子どもの加算額の合計」となります。1人目と2人目については年23万4800円、3人目以降は年7万8300円です(令和6年度)。
子どもが受け取る場合は「年81万6000円と2人目以降の子どもの加算額の合計額」が年金額になります。その金額を子どもの人数で割った金額が1人あたりの金額です。
このことから、50代だったとしても「子どもがいる配偶者であれば遺族基礎年金の対象」です。しかし、子どもが成人している場合や子どもがいない家庭の場合、遺族基礎年金は受け取れないことになります。
遺族厚生年金
遺族厚生年金は、厚生年金保険の被保険者で年金を受け取る要件を満たした人が亡くなった場合に、亡くなった人によって生活していた遺族が受け取れる年金です。
遺族厚生年金を受け取れる対象は、「子どものいる配偶者」「子ども」「子どものいない配偶者」「父母」「孫」「祖父母」となっています。優先順位はこの並びのとおりで、「子ども」と「孫」は、18歳になった年度の3月31日までの人または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人を指します。
遺族厚生年金は子どものいない30歳未満の妻は5年間のみ受け取ることができます。また、子どものいない夫については55歳以上であれば対象となりますが、受給の開始は60歳以上です。ただし、遺族基礎年金と合わせて受け取れる場合は55歳から60歳の期間でも遺族厚生年金を受け取れます。
受給金額は、亡くなった被保険者の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
報酬比例部分は年金額の基礎となるもので、平成15年4月以降の加入期間の場合を参考にすると「平均標準報酬額×5.481÷1000×平成15年4月以降の加入期間(月数)」で求められます。平均標準報酬額は各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を加入期間で割った金額です。
例えば、平均標準報酬額が43万円(平均的な収入)で加入期間が22歳から59歳までの37年間だった場合は年間104万6432円になります。遺族厚生年金はこの4分の3なので年間78万4824円です。
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妻の場合は中高齢寡婦加算を受け取れる可能性も
夫が亡くなった40歳から65歳までの妻が受け取る遺族厚生年金については、61万2000円が加算されます。これが中高齢寡婦加算です。そのため、50代で夫が亡くなった場合に妻が40歳から65歳であれば中高齢寡婦加算も受給できるので受け取れる年金額は遺族基礎年金や遺族厚生年金と合わせると多くなります。
子どもがいない妻だった場合でも遺族厚生年金が前記のように78万4832円だったとすると、中高齢寡婦加算の61万2000円を合わせると139万6824円です。
万が一に備えて家族間で話しておくようにしましょう
年金受給前の50代で亡くなった場合は、亡くなってしまった人自身は年金を受け取れずに終わってしまいますが、遺族が受け取ることができる年金もあります。
また、遺族基礎年金は子どもの人数によって金額が変わり、遺族厚生年金については被保険者の収入によって金額が変わります。こちらについても万が一に備えて家族間で確認しておくか、いざというときにすぐに確認できるようにあらかじめ準備しておくとよいでしょう。
出典
日本年金機構 遺族年金
日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー