更新日: 2024.10.28 国民年金

少子化によって「公的年金」がなくなることはあるの? 持続させるための「財政検証」とは一体何?

少子化によって「公的年金」がなくなることはあるの? 持続させるための「財政検証」とは一体何?
昨今の日本では少子高齢化がますます深刻な社会問題となっており、令和5年度の合計特殊出生率は「1.20」で過去最低の数値でした。
 
このような状況下で、少子高齢化によって「公的年金」がなくなる心配をしている方も多いのではないでしょうか。なかには、公的年金制度を持続させるための「財政検証」について詳しく知りたいと考えている方もいるでしょう。
 
そこで今回は、少子高齢化によって公的年金がなくなるかもしれないという不安を抱えている方に向けて、公的年金制度と財政検証の内容をご説明します。ぜひ最後までお読みいただき、公的年金制度について理解を深めてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

公的年金制度とは?

日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満の全国民が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社員・公務員が加入する「厚生年金」から成り立っています。
 
公的年金制度は「賦課方式」という方式で運営されており、現役世代が支払った保険料(国民年金・厚生年金)が高齢者などの年金給付に充てられています。
 
したがって、少子高齢化が進行している日本では、何の対策も取られなければ公的年金制度は破綻してしまう可能性があったというわけです。
 

【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資

【PR】J.P.Returns

おすすめポイント

・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる

公的年金制度は破綻する?

それでは、現在も公的年金制度は破綻してしまう可能性があるのでしょうか。ここでは公的年金制度を持続させるための取り組みを紹介し、公的年金制度の持続可能性を確認していきます。
 

取り組み①:財政検証

現在、公的年金が高齢者世帯の収入の約6割を占めており、公的年金制度をなくすことは非現実的です。
 
そこで、公的年金制度を中長期的に持続させていくために、「財政検証」で年金給付と保険料負担のバランスが取れているかの確認が定期的に行われています。「財政検証」は少なくとも5年に1度行われ、保険料の引上げや年金の給付水準の調整などが検証されています。
 
実際、少子高齢化に伴って国民年金保険料は増加しており、公的年金制度の持続に貢献しているといえるでしょう。参考までに、過去10年間の国民年金保険料の推移は表1の通りです。
 
表1

保険料納付期間 保険料(月額)
平成27年4月~平成28年3月 1万5590円
平成28年4月~平成29年3月 1万6260円
平成29年4月~平成30年3月 1万6490円
平成30年4月~平成31年3月 1万6340円
平成31年4月~令和2年3月 1万6410円
令和2年4月~令和3年3月 1万6540円
令和3年4月~令和4年3月 1万6610円
令和4年4月~令和5年3月 1万6590円
令和5年4月~令和6年3月 1万6520円
令和6年4月~令和7年3月 1万6980円

出典:国民年金機構「国民年金保険料の変遷」より筆者作成
 

取り組み②:公的年金の積立金運用

公的年金制度では、将来の年金給付を確保するために保険料の一部が「年金積立金」として積み立てられており、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が管理・運用を担っています。
 
年金積立金の運用は、長期的な観点から安全性と効率性を重視して行うことと定められており、毎年度実績が確認されています。参考までに、過去10年間の年金積立金の運用状況は表2の通りです。
 
表2

年度 運用実績
平成26年度 15.3兆円
平成27年度 -5.3兆円
平成28年度 7.9兆円
平成29年度 10.0兆円
平成30年度 2.3兆円
令和元年度 -8.3兆円
令和2年度 37.7兆円
令和3年度 10.0兆円
令和4年度 2.9兆円
令和5年度 45.4兆円

出典:厚生労働省「年金積立金の運用実績の収益額の推移」より筆者作成
 
年金積立金の運用実績は比較的安定的に推移しており、令和5年度までに累積で約164.5兆円がプラスの収益になっています。財政検証や公的年金の積立金運用といった取り組みによって、公的年金制度は今後も持続可能であると考えられます。
 

公的年金制度に関心を持ちましょう

本記事では、公的年金制度と財政検証の内容、そして公的年金制度の持続可能性をご説明しました。
 
年金保険料は、財政検証という収支のバランス調整によって年々増加しています。一方で、保険料の一部を積立金として運用することで財源の確保も行われています。保険料を負担する当事者としては、公的年金をなくさないように、公的年金制度に関心を持ち続けることが大切です。
 

出典

厚生労働省 令和5年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況
厚生労働省 30~40代のみなさんへ
日本年金機構 国民年金保険料の変遷
厚生労働省 年金積立金の運用実績の収益額の推移
厚生労働省 教えて!年金積立金運用 運用状況はどうなっているの?
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集