更新日: 2024.11.10 国民年金
大学生の時に猶予されていた「国民年金」の支払い案内が届きました。1年分だけでも20万円近く掛かります。ボーナスが飛んでしまうのですが、払ったほうが良いのでしょうか?
しかしながら、学生の場合は、申請することで在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。ただし、免除されているわけではありませんので、10年以内であれば保険料をさかのぼって納めることが可能です。
執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト
金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。
国民年金保険料の学生納付特例制度について知っておこう
日本では、20歳になると国民年金の被保険者になるため、国民年金に加入しなければなりません。とはいえ学生の場合、保険料の負担が重くのしかかるため、特例が設けられています。これは「学生納付特例制度」です。
特例制度の対象者かどうかは、所得がベースになりますので、学生でも収入を得ている場合は、注意が必要です。
具体的には、学生納付特例を受けようとする年度の前年の所得が「128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」を超えている場合は、特例を受けることができません。なお、この時の所得は家族の所得は考慮されず、あくまでも学生本人の所得がベースです。
特例制度の対象となる学生とは、大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校および各種学校の他、一部の海外大学の日本分校に在学する学生です。さらに、夜間や定時制課程や通信課程の学生も含まれているため、ほとんどの学生の方が対象となっています。
なお、修業年限によっては、対象外になる学生もいます。大学生で特例を申し込みたいと考えているなら、自分が対象かどうかを最寄りの年金事務所などで確認するといいでしょう。
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学生納付特例制度のメリットと追納について考えてみよう
公的年金のベースとなる老齢基礎年金、いわゆる国民年金を受け取るには、原則として保険料の納付済み期間等が10年以上必要となっていますが、学生納付特例制度を申請し、承認を受けている期間は、納付済み期間等の10年以上に含まれます。
つまり、保険料を納付していない場合でも、加入期間として認めてもらえることになるのでメリットといえます。
しかし、保険料を支払っていなくても納付済み期間として認めてもらえるのはメリットではありますが、実際には保険料を支払っていないため、老齢基礎年金額に反映されるわけではありません。その結果、同じ納付済み期間であっても、保険料を支払っていない分の年金額は減額されます。
年齢を重ねると収入は限られてしまいますので、少しでも多く、受け取れる年金額を増やすのは大切なことなのではないでしょうか?
国民年金の支払いは、前向きに検討しよう
上記で説明したように、保険料を支払っていない期間は年金額には反映されません。将来のことを考えたら追納し、将来、受け取ることのできる年金額を増やすことを検討してはいかがでしょうか?
なお、追納できる期間は決まっており、10年以内であれば保険料をさかのぼって追納することができるようになっています。
また、学生納付特例後の保険料のルールとして、特例承認を受けた期間の翌年度から起算し、3年度目以降に保険料を支払う(追納する)場合、承認された当時の保険料額に対し、経過した期間に応じた加算金額が上乗せされることになっています。
追納をするときには、できるだけ早く追納したほうが後から支払うよりも保険料の支払いを抑えることが可能になります。ボーナスがなくなってしまうのはつらいと思いますが、学生納付特例後の国民年金の追納は、前向きに検討してほしいと思います。
出典
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト