更新日: 2024.11.20 その他年金
65歳になりましたが「年金」が振り込まれません。なぜですか?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
年金は自動で受け取れない
そもそも年金とは、65歳になったら自動で受け取れるものではありません。「原則として、65歳から受け取ることが可能になる」ということであって、単に65歳から支給開始されるものではありません。
年金を受け取るのに必要なのは、「年金請求書」を提出することです。この年金請求書は、年金を受け取ることのできる年齢に達する3ヶ月ほど前に送付されます。それを年金事務所へ、指定された添付書類とともに提出することで、手続きが完了します。
なお、近年は電子申請の形で手続きをすることもできます。日本年金機構によれば、年金の未加入期間がないなど一定条件を満たしていて、電子申請による手続きを利用できる方には、電子申請に関する案内が年金請求書とともに送付されてくるため、詳細についてはそちらを確認してください。
参考までに、年金請求書の提出から実際に年金が支給されるまでの期間は、3ヶ月から4ヶ月ほどかかることが一般的です。すぐに受け取れるものではないことも、併せて覚えておきましょう。
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要件を満たしていない可能性
そもそも年金請求書が送られてこない場合、年金を受け取るための要件を満たしていない場合があります。
老齢基礎年金の場合、「受給資格期間」が10年以上なくては、受給することができません。受給資格期間とは、簡単にいえば保険料を納めたり、納付を猶予・免除されていたりした期間の合計です。過去に未納期間などがある場合は要注意です。
また、会社員などが受け取ることのできる老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給資格を満たしていることが、受給要件とされています。そのため、老齢基礎年金を受け取れない場合は、老齢厚生年金も受け取れないことにもなります。
なお、受給要件を満たしているにもかかわらず、年金請求書が届かない場合は、最寄りの年金事務所へ相談してみてください。手続きミスなどにより、年金請求書が届いていない可能性も考えられます。
繰下げ受給をそのまま検討するのもあり
年金制度には、65歳よりも遅く受け取りを開始する「繰下げ受給」という仕組みがあります。繰下げ受給においては、受け取る時期を1ヶ月遅らせるごとに、年金額が0.7%増額されます。繰下げ受給は最大で75歳まで行えるため、増額率は最大で84%まで上がります。
65歳になっても年金の受け取りを請求しない場合は、自動的に「繰下げ受給」扱いにされます。繰下げ受給の手続きを行った時点で繰下げ増額率が決まります。
仮に、月額換算10万円の年金を受け取る場合、75歳まで繰り下げるとその方の年金額は、18万4000円に増加します。参考までに、令和6年度ベースの老齢基礎年金額は満額で81万6000円です。75歳まで繰り下げをすると、年額150万1440円になります。
なお、年金の受け取りには時効があり、その期間は5年と定められています。そのため「繰下げ受給を取り消し、65歳にさかのぼって本来の年金を受け取りたい」という場合、70歳以降に取り消してしまうと、今まで繰り下げていた年金額の一部を受け取れない場合もあるため、注意してください。
まとめ
年金は原則として65歳から受け取れるとされていますが、実際は、年金請求書を提出しなければ、受給を開始することができません。
手続きが遅れたとしても「繰下げ受給」扱いとなるため、その期間分の年金を受け取れなくなることは基本的にありませんが、5年を過ぎてから繰下げ受給をやめると時効扱いになってしまうため、注意が必要です。
もし「65歳になっても年金が受け取れない」と悩んでいるのであれば、年金請求書について一度確認した上で、最寄りの年金事務所へ相談することをおすすめします。
出典
日本年金機構 老齢年金の請求手続き
執筆者:柘植輝
行政書士