更新日: 2024.11.29 国民年金

2026年10月から子どもが1歳になるまで保険料が免除されるとニュースで見ました。所得制限などはあるのでしょうか?

2026年10月から子どもが1歳になるまで保険料が免除されるとニュースで見ました。所得制限などはあるのでしょうか?
2026年10月から育児期間中の個人事業主などが加入する第1号被保険者の出産・育児期間に関する国民年金保険料の免除期間が改正されます。社会保険料の負担増が続くなか、免除制度の拡充は家計の負担軽減の一助となります。国民年金保険料の現行の免除制度と改正内容について解説していきます。
菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

国民年金保険料について

国民年金保険料は、原則として日本国内に住所のある20歳から60歳までの方が保険料を納付しています。保険料は所得に関わらず一定で、金額は年度ごとに改定されています。
 
2024年度は月額1万6980円で、夫婦ともに第1号被保険者の場合は月額約3万4000円の支払いです。前納制度を利用すれば保険料負担を多少軽くすることができますが、家計には大きな負担といえます。
 
しかし、負担が大きいからといって保険料を未納にしてしまうと将来の老齢基礎年金ばかりか、万が一の備えである遺族基礎年金や障害基礎年金も受け取ることができなくなるおそれがあるので、支払いが難しい場合は免除制度が利用できないかを検討するようにしましょう。
 
特に出産前後は父母ともに就労が難しくなる可能性があるので、国民年金保険の全額免除制度が備えられています。
 

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国民年金保険料の出産・育児期間に関する現行の免除制度は?

出産・育児に関する免除制度は、現在は女性のみ利用することができ、出産日の前月から翌々月までの合計4ヶ月(多胎の場合は6ヶ月)の全額免除を受けることができます。
 
また、通常、経済的理由などで免除制度を利用した場合は、年金を受け取るために必要な10年の加入期間には算入されますが、免除額を追納しない限り老齢基礎年金の給付額は免除の内容に応じて減少してしまいます。
 
しかし、この出産・育児に関する免除では「保険料は全額納付された」と見なされるため、老齢基礎年金が減少するデメリットがありませんし、国民年金保険料の支払いが拠出の条件となる付加年金についても掛け金を拠出することができます。
 
なお、前納制度を利用している場合でも、免除期間中の保険料については全額還付されますが、届出をしないと免除を受けることはできません。
 

2026年10月から出産・育児期間に関する免除制度はどう変わるのか?

国民年金保険料の出産前後の保険料免除期間は2026年10月から改正され、1号被保険者であれば父母どちらでも免除を受けることができ、免除期間も、実母であれば子どもが1歳になるまでの9ヶ月間延長され、実父や養子を養育する父母であれば出生日(養子となった日)から子どもが1歳になるまで最大12ヶ月が免除の対象期間となります。
 
免除制度は利用するにあたり、所得制限はなく、実際に休業する必要もありませんし、現行制度と同様に給付金の減額は行われず、付加年金の拠出も可能となっています。
 
この改正による保険料の軽減額は、その年度の国民年金保険料によって左右されますが、仮に2024年度と同額であった場合は現行制度よりも十数万円の負担軽減となります。
 

まとめ

2026年10月から国民年金保険料の出産・育児に関する免除制度に改正が加わります。父母ともに利用可能で、子どもが1歳まで利用できます。免除制度を利用するには届出が必要ですが所得制限はなく実際に出産・育児で休業する必要もありません。
 
免除制度の改正により保険料負担は年額で十数万円の軽減となります。金額はさほど大きなものと感じないかもしれません。
 
しかし、出産~育児期間は家族が増えるため生活環境が大きく変わり、何かと出費が増える時期でもあります。利用できる制度は確実に利用し、家計の負担軽減を進めていきましょう。
 

出典

厚生労働省 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案における国民年金法の改正について(報告)
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表

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