63歳で退職して「特別支給の厚生年金」と「失業給付」で暮らすつもりが、年金が「全額支給停止」に! 65歳未満は同時受給できないの? 注意点を解説

配信日: 2024.12.24

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63歳で退職して「特別支給の厚生年金」と「失業給付」で暮らすつもりが、年金が「全額支給停止」に! 65歳未満は同時受給できないの? 注意点を解説
65歳未満で受給権が発生する特別支給の老齢厚生年金と、65歳から受給権が発生する通常の老齢厚生年金には、そのほかの制度との調整で大きく異なる点がありますが、制度が複雑でよく分かっていない人も多いかもしれません。
 
本記事では老齢厚生年金と雇用保険の失業給付との調整について、65歳未満と65歳以後でどう異なるかを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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基本手当などを受給すると年金は支給停止になる?

特別支給の老齢厚生年金など65歳になるまでの老齢厚生年金を受給している人が、雇用保険の失業給付(基本手当)を受給する場合、年金が全額支給停止となります。年金が支給停止される期間を調整対象期間と言います。
 
65歳未満で老齢厚生年金を受給中の人が退職し、ハローワークに求職の申込みを行うと、その翌月分の年金から全額支給停止となり、失業給付の受給期間が経過した月または所定給付日数を受け終わった月まで調整対象期間は続きます(調整対象期間中も65歳未満の場合)。
 
ただし、失業給付の受給期間中に失業給付を受けなかった月がある場合、その月分の年金は約3ヶ月後に支給されます。
 

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基本手当受給後に年金は事後清算される

調整対象期間中に失業給付を受けた日が1日でもあれば、その月の年金は全額支給停止されます。その結果、失業給付を受けた日数が同じでも、年金が支給停止される月数が変わる場合があります。
 
そのため、失業給付の受給期間が経過した日または所定給付日数を受け終わった日以降に調整が行われ、年金がさかのぼって支給される事後精算という仕組みがあります。事後精算される年金支給月数は次のように計算されます。
 
年金停止月数-失業給付の支給対象となった日数÷30日(1未満の端数は切り上げ)
 
仮に年金停止月数が6ヶ月で失業給付の支給対象となった日数が130日だった場合、1ヶ月分の年金が支給されることになります。失業給付を受けていない期間だけ支給される仕組みとなっており、支給停止となっていた期間の年金が全て支給されるわけではありません。
 

65歳以後は雇用保険と厚生年金の調整はなし

上記のように、老齢厚生年金と雇用保険の調整は65歳未満で受給する年金が対象です。65歳直前で退職し、65歳から通常の老齢厚生年金を受給しながら雇用保険の失業給付を受給しても年金の支給停止は起こらず、両方満額受給できます。
 
なお、65歳以降に退職すると、要件を満たせば、基本手当ではなく高年齢求職者給付金を受給できます。この給付金も老齢厚生年金との調整は発生せず、どちらも満額を受給できます。
 

働きながら年金を受け取る場合は65歳未満、65歳以後かは関係ない

しかし、働きながら年金を受けるときは65歳以降でも年金が支給停止になる可能性があります。70歳未満の人が厚生年金保険に加入したり、70歳以上の人が厚生年金の適用事業所で働いたりする場合は、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額に応じて、年金の一部または全額が支給停止となる場合(在職老齢年金)があります。
 
加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額と、総報酬月額相当額(その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12)の合計額が50万円を超えた場合、超えた額の2分の1が支給停止となります。
 
また、66歳以降に繰下げ待機中でも在職老齢年金で年金が支給停止となる場合は、在職老齢年金で支給停止になっていない部分の金額にのみ増額率が適用されますので注意が必要です。
 

まとめ

65歳未満で失業給付と特別支給の老齢厚生年金を同時に受給することはできません。失業給付を受ける(求職の申込みをした)場合、65歳未満で受給する老齢厚生年金は全額支給停止されます。
 
そうなった場合、思うような収入が得られず、前年の所得で計算される住民税や健康保険料などの社会保険料の支払いで家計がピンチになる可能性もあります。
 
ただし、老齢基礎年金(国民年金)は繰上げ受給しても雇用保険との調整や在職老齢年金の対象とならず、全額支給されます。家計に困ったときは、繰上げ受給も検討してみてはいかがでしょうか?
 

出典

日本年金機構 老齢年金ガイド 令和6年度版
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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