海外移住した友人は「定年後は日本で暮らしたい」とのこと。移住後は「年金」を払ってないはずだけど、帰国後に年金を受け取れる? 受給資格について解説

配信日: 2025.03.02 更新日: 2025.03.03

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海外移住した友人は「定年後は日本で暮らしたい」とのこと。移住後は「年金」を払ってないはずだけど、帰国後に年金を受け取れる? 受給資格について解説
海外に移住した友人が「将来は日本に戻って暮らしたい」と話すのを聞いたら、「老後の生活費はどうするのだろう? 年金はどうなるの?」と疑問を感じるかもしれません。結論から言うと、海外に移住した場合も所定の条件を満たすことで将来年金を受け取ることができます。どういうことなのか、詳しく解説します。
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受給資格期間が10年以上あれば将来年金を受け取れる

国民年金(老齢基礎年金)を受け取るためには、10年以上の受給資格期間が必要です。受給資格期間には、次の期間が含まれます。

●実際に保険料を納めた期間
●保険料の納付を免除されていた期間
●学生納付特例や納付猶予を受けていた期間
●第3号被保険者(専業主婦など)の期間

例えば、20歳から22歳まで学生納付特例を受けた後、23歳から28歳まで会社員として保険料を納め、29歳から30歳まで専業主婦として第3号被保険者だった人が31歳で海外に移住した場合も、加入期間の合計が10年以上となるため、受給資格を満たします。
 
会社員として厚生年金に加入していた期間についてもきちんと記録が残るため、その分は国民年金に上乗せして受け取ることができます。
 
では、移住前の加入期間が10年未満の場合はどうすればいいのでしょうか?
 

移住後も日本の年金制度に任意加入できる

海外に移住後も、必要な手続きを行うことで日本の国民年金に任意加入することができます。任意加入中も保険料を納付すれば将来受け取る年金額を増やすことができますし、付加保険料を納めることでさらに年金額を増やすことも可能です。
 
将来は日本に戻り、日本の年金を受給しながら生活しようと考えている場合は、任意加入や付加保険料の納付を検討するとよいですね。
 
任意加入の手続きは、出国前であれば住まいのある市区町村窓口で行うことができます。すでに海外に移住した後に任意加入の手続きを行う場合、国内の協力者がいれば、日本における最後の住所地を管轄する市区町村窓口に、そうした協力者がいなければ、日本における最後の住所地を管轄する年金事務所に申請します。
 
ただし、任意加入の場合は免除・納付猶予や学生納付特例の申請ができないことに注意しましょう。
 
また、帰国後は任意加入から強制加入への変更手続きが必要となりますので、忘れないようにしましょう。
 

移住先の年金制度を利用する選択肢もある

移住後は日本の年金制度ではなく、移住先の年金制度を利用するという選択も可能です。というより、そもそも海外で働く場合は働いている国の社会保障制度に加入する必要があるため、すでに移住先で働いている友人の場合は移住先の社会保障制度に加入している可能性が高いでしょう。
 
この場合、日本の国民年金に任意加入していなくても、将来的に日本の国民年金を受給できる可能性があります。
 
日本は2025年現在、アメリカやドイツ、フランス、オーストラリアなど、合計23ヶ国と「社会保障協定」を結んでいます。「社会保障協定」は異なる国の社会保障制度間の調整を目的とした国際条約で、年金制度にも以下のようなメリットがあります。
 
・二重加入の防止
日本と移住先の両方で年金保険料を支払う必要がなくなります。
 
・加入期間の通算
日本と移住先の加入期間を合算することで、受給資格期間を満たしたり、将来受け取る年金額を増やしたりすることが可能です。
 
「二重加入の防止」は、日本の企業に勤める人が海外に駐在する場合や自営業の方が一時的に海外で就業する場合に、日本と勤務先の国の保険料を二重負担することを防ぐためのものです。
 
例えば、20歳から22歳まで学生納付特例を受けた後、23歳から28歳まで会社員として保険料を納め、その後移住した場合、とくに手続きなどをしなければ日本の国民年金の加入期間は8年となり、受給資格を得られる10年に達しません。
 
しかし、移住先でその国の社会保障制度に2年加入した場合は通算での加入期間が10年となるため、受給資格を得ることができます。ただし、協定の内容は国と社会保障制度により異なるため、具体的な扱いについては事前に日本年金機構や移住先の国の社会保険機関に確認するとよいでしょう。
 

まとめ

海外移住中でも所定の条件を満たすことで日本の年金の受給資格を得ることは可能です。ただし、移住中も日本の国民年金に任意加入して保険料を納付する、移住先の社会保障制度に加入するなどの手続きが必要になります。
 

出典

日本年金機構 国民年金の任意加入の手続き(日本の年金制度への継続加入)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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