夫婦2人世帯ですが、受け取れる年金は月額で「30万円」になりそうです。贅沢しなければ、年金だけで生活できますか?
配信日: 2025.03.07

そこで本記事では、老後の生活における支出額や年金について解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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65歳以上の支出額の平均
総務省の「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」を参考に、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における支出額の平均を表1にまとめました。
表1
65歳以上の夫婦のみの無職世帯 | |
---|---|
消費支出額 | 25万959円 |
非消費支出額 | 3万1538円 |
合計額 | 28万2497円 |
出典:総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要」を基に筆者作成
非消費支出額の内訳は、直接税と社会保険料です。夫婦での年金収入が支出を上回る場合には、基本的に年金だけで生活できるでしょう。
ただし、あくまでも支出額が平均的なものであることが前提です。支出額が収入額を超える場合は、別の収入源を用意したり、貯蓄からねん出したりするなどの対策が必要でしょう。
月額の年金収入が30万円の場合
月の支出額が平均額の28万2497円の場合で考えると、夫婦で月額30万円の年金収入があれば十分生活できるでしょう。毎月2万円弱の黒字になるため、貯金も可能です。
一方、黒字が2万円弱のみであれば、突発的な支出への対応が難しいかもしれません。病気やけがなどによる医療費をはじめ、想定外の支出が発生する可能性も充分に考えられます。決して余裕がある状況とはいえないでしょう。
公的年金の平均受給額
老後に受け取れる年金にはいくつかの種類がありますが、多くの方が受給できるのとして、国民年金と厚生年金が挙げられます。
国民年金
国民年金は、20歳以上60歳未満の日本に居住する人が加入対象の公的年金です。保険料を納めた期間と保険料の支払いを免除された受給資格期間が10年以上あれば受け取ることが可能です。
国民年金の年金額は保険料を支払った月数によって決まるほか、物価などを基準に毎年度改定されます。令和7年度における国民年金の満額は月額6万9308円です。令和6年度は6万8000円だったため、1308円の上昇が見られました。
厚生労働省が発表した、「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和5年度における国民年金の平均受給額は月額で5万7700円とされています。なお、令和5年度における国民年金の満額は6万6250円です。
厚生年金
厚生年金の対象者は、厚生年金保険が適用されている事業所で勤務する人です。公務員や会社員などが主な対象ですが、状況次第ではアルバイトも対象になります。
また、厚生年金の年金額は納めた保険料によって決まりますが、納めるべき保険料は年収によって異なります。年収が高ければ納める保険料も高くなり、より多くの厚生年金を受け取れるのです。
厚生労働省の「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和5年度における厚生年金の平均受給額は月額で14万7360円とされています。なお、この金額は国民年金を含めたものです。
夫婦2人が国民年金を含めた厚生年金の平均受給額を受け取れる場合、世帯での収入は29万4720円となります。若干ですが、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均支出額を上回ることになります。
収支は黒字になる可能性が高い
総務省の家計調査によると、65歳以上の夫婦2人のみの無職世帯における支出額の平均は、28万2497円とされています。年金による収入が毎月30万円あれば、十分生活できるでしょう。ただし、支出が30万円を超えるようであれば、年金だけでの生活は難しいといえます。
多くの方が受け取る年金は公的年金のうち、国民年金と厚生年金です。実際に受け取れる年金額は、納めた保険料や保険料の納付期間などによって異なります。
厚生労働省によると、平均的な受給額は国民年金と厚生年金を含めて、一人当たり14万7360円とされています。夫婦2人では29万4720円となるため、「月額30万円の年金額」は平均的なものといえるでしょう。
出典
総務省 家計調査報告〔家計収支編〕2023年(令和5年)平均結果の概要(19ページ)
厚生労働省
令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から1.9%の引上げです~
令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況(8、19ページ)
日本年金機構 令和5年4月からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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